「あっ、手が出た」 日本代表GK対談、西川周作の1本のセーブに楢﨑正剛が感じた変化
楢﨑氏に憧れていた西川「幼少期の頃から日本代表で活躍している偉大な先輩」
――お二人は日本代表でも一緒にプレーした間柄ですが、西川選手はずっと楢﨑さんに憧れていたと耳にしました。
西川「自分が幼少期の頃から日本代表で活躍しているナラさんは偉大な先輩であり、憧れの存在です。僕が大分トリニータでデビューしたルーキーイヤーの2005年に、大分と名古屋グランパスの試合が熊本県で開催されたんです。その時に初めてナラさんにお会いできて、試合前に緊張しながら挨拶させていただいたのを今でもよく覚えています」
楢﨑「えっ、そんなにリスペクトしてくれていたの?」
西川「していましたよ!(笑)」
楢﨑「それは知らなかったなあ(笑)。初めて聞いたけど、うれしいね」
西川「あっ、直接伝えるのは初めてかもしれません。いろいろな取材でこの話はしているんですけどね(笑)」
楢﨑「僕もずっとテレビで見ていたカズさん(三浦知良/現・横浜FC)といつからか同じ日本代表でプレーするようになって、最初はドキドキしたよ。そういった現象というか感情は脈々と受け継がれていくんだろうね。だから今度は周作がそうやって憧れられる立場になったということ。20歳くらいの若いGKと対戦することもあるだろうし、彼らは飄々とやっているかもしれないけど、絶対に幼い頃から周作のプレーを見て、憧れを抱いていたはずだから」
西川「ナラさんは幼い時の気持ちを思い出させてくれる存在です。2010年に名古屋が優勝したシーズンも印象的でした。そのシーズンの最終節で対戦した時にユニフォーム交換をお願いしたら気持ちよく応じてくれて。ナラさんの一人のファンとして尊敬の眼差しでプレーさせてもらっていました(笑)。そこで今回、ナラさんに聞きたいことがありまして。僕は今35歳なんですけど、この年齢からどんな感覚でプレーしていたのかアドバイスをいただきたいです」
楢﨑「2010年は自分が34歳のシーズンだなあ。振り返ってみると34~35歳は自分の中で一番良いフィーリングで動けていた感覚がある。いろいろな経験を経て、吸収して、とても良い状態だった。30代後半までは自分が衰えていくイメージは全く持っていなかった。少し怪我が増えていったので自分の体を知ろうという努力やメンテナンスへの意識は高まったけど、プレーしている時は年齢を全く意識していなかったよ。だから周作も気にならないんじゃない?」
西川「そうですね。年齢を考えながらプレーすることはありません」
楢﨑「『今が一番良い』と思ってプレーしたほうがいい。周りからはいろいろな雑音が入ってくるかもしれないけど、自己評価はそこで切り離してしっかり考えるべき。35歳くらいの年齢になると、それまでと同じミスをしたとしても衰えたと思われてしまうから悔しいけど、35歳だからできるプレーも必ずあるはずだから」
西川「素晴らしいアドバイスありがとうございます。自信が湧いてきました」