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「人生で一番辛かった」ベトナム挑戦 松井大輔が綴った9か月のすべてとフットサル転向

皆さんお元気ですか、Y.S.C.C.横浜フットサルの松井大輔です。

ベトナムから帰国し、フットサルに挑戦することとなった松井大輔【写真:窪田亮】
ベトナムから帰国し、フットサルに挑戦することとなった松井大輔【写真:窪田亮】

連載「松井大輔のベトナム挑戦記」最終回、昨年12月に始まった挑戦は志半ばで終了に

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 ご存じかと思いますが、先日ベトナムでの挑戦を終えて日本に帰国しました。ベトナムでの最後はロックダウン措置によって住んでいるマンションから一歩も出られず、本当に苦しかったです。緊急事態宣言下でもルールやマナーを守れば普通に近い生活ができる日本はとても居心地よく感じます。

 ベトナムで生活した時間は、正直に言うと人生で一番つらかった……。これまで数多くの国やチームでプレーして、さまざまな困難やストレスに直面してきました。寒さや暑さといった気候的な問題に始まり、試合に出られないストレスと戦い、監督と考えが合わなかった経験もあります。

 そんな時でもストレスを発散する場所があれば大丈夫でした。買い物をすれば楽しい気持ちになり、おいしい食事で腹が満たされれば嫌なことも少しだけ忘れることができました。でも今回はロックダウンだったので何もできなかった……。さすがに僕も「早く日本に帰りたい」という気持ちになりました。

 軍の人が運んできた食事を食べて、ずっと映画を観て、あとはボーっとして、寝る。ほとんどこの繰り返しで、まるで箱の中に閉じ込められているような気分になりました。当初は2週間という区切りがあったけど、それが終わって2週間延長して、また2週間延長を繰り返して……。最初から期間が決まっていれば終わりが見えるので頑張れるけど、全く終わりの見えない戦いは本当に苦痛でした。

 去年の12月にベトナムへ行って、日本に帰ってきたのが今年の8月。ロックダウン期間や隔離期間を含めると約半分くらいは普通に生活できず、もちろんサッカーもできませんでした。簡単に言えばロックダウンのスペシャリストです(笑)。知らなくても良かったこと、経験しなくて良かったことかもしれないけど、話のネタには事欠きません。

 この経験で人間としてひと回りもふた回りも大きくなれた気がします。毎日の何気ない会話や食事は普通のことではないと身をもって体感しました。メンタルがだいぶ強くなったという自負があるので、どの世界へ行っても生活できる強さを手に入れたと思っています。

 僕をサイゴンFCに導いてくれたビン会長とはベトナムを離れる前に電話で話をしました。本当は会って直接感謝を伝えたかったけれど、コロナ禍の影響でそれも叶わなかったことは残念でした。けれどビン会長は「あたなが将来羽ばたけるように成功を祈っています」と言葉をかけてくれました。僕も「ビン会長とサイゴンFCのさらなる発展を願っています」と伝えて、お互いにエールを交換しました。

 ピッチ内外で期待されていたような働きはできなかったかもしれませんし、もっと輝きたかったのが本音です。それでも僕にとってベトナムで過ごした時間は貴重な経験になったし、挑戦の場として選んだことに後悔はありません。この場を借りて、改めて感謝を伝えたいと思います。

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