平昌五輪は成功だったのか 現地ライターが見た17日間の「リアル」
閉会式の後は大きな混乱なし…実はすごい市営バスのサービスもあった
韓国で開催するスポーツの総合大会では、バス社会の韓国ならでは、とも言える大型バスを活用したシャトルバス路線をたくさん作るのだが、今回もまた、あまりにも複雑すぎたのか、中継地点が多かったのか、五輪が始まる9日の開会式では行きも帰りも大混雑で、開会式の会場に行くのも一苦労で、シャトルバスを何度も乗り換えさせられた。帰りも平昌から江陵まで行く手段が限られてしまっていたようで、海外の観客がバス停や最寄り駅で右往左往する姿があったようだ。あるはずの道が封鎖されていたり、あるはずの停留所がなくなっていたり、あるはずのシャトルバスを突如勝手に運休したりしても、それらはいずれも何にもアナウンスされず、何の表示もされていなかった。
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しかし、25日の閉会式に参加して、平昌から江陵に帰るときにはスムーズにホテルまで帰り着いた。一度、開幕式を経験したことで、ある程度の観客の流れや人数を把握したのだろう。それほど大きな混乱もなく、平昌オリンピックスタジアムのプラザ近くから出たシャトルバスに次々と観客が乗り込み、大関嶺に作った駐車場の第1中継地点で降り、そこから江陵の北側に作った駐車場の第2中継地点で降り、そこで待っていたシャトルバスで江陵駅まで来られた。掛かった時間は1時間30分ほどだった。
ここまで取り上げたシャトルバスは五輪組織委員会が運営するバスだが、江原道の江陵市内を走っている市営バスがすごいサービスを行っていた。誰が乗っても無料という運行バスを118台用意して全11路線が開幕前日から閉幕翌日までの19日間に渡って1日32便(逆のルートも32便)行ったことは特筆に値するだろう。このシャトルバスはアイスアリーナなどの五輪の主要な施設や観光名所にバス停を設けており、本当に便利で助かったバスだった。
ただ、こちらのバスも、日本で生活することに慣れていると痛い目に遭うことになる。主要停留所には時刻が印されているが、遅れて来る分には仕方がないと諦めもつくが、その時刻よりも前に走り去ってしまうのだけはご勘弁してほしかった。
(辛 仁夏 / Synn Yinha)