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ラグビー界の“鉄人”大野均が繋ぐ「スポーツと福島」 震災から10年の今できること

漠然とした想いを具体化させた「A-MAP」での学び

 現役時代から人望が厚いことで知られ、ラグビー日本代表チームでは最多キャップ数(98)という実績を誇る大野さん。本戦ピッチの審査員からは「難しいとされる競技の枠を越えた取り組みを実現できるとしたら均さんだと思う」と最大級のエールを送られた。「期待されたプレッシャーもありますが(苦笑)、できるところから少しずつ。いきなりポンと立ち上げることはできませんから」と誠実な口調で語る。

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 昨年、引退した当初は「何かしたい」と漠然とした思いはあったが、ラグビーで培ったキャリアをどうやって生かすべきなのか、自分が何をやりたいのかが見えていなかった。そんな中、縁あって参加したA-MAPでは自分と徹底的に向き合い、ボンヤリとしていた想いを徐々に言語化できるようになってきた。

「EQという自己分析テストを受けたら、自己効力感がすごく弱いことが分かりました。こういうテストを通じて改めて自分自身のことを知ったり、スポーツをやっているだけでは出会えなかったビジネスパーソンの方々のお話が聞けたり、本当にいい刺激と学びを得ています。第1期生の仲間も現役選手もいれば引退した人もいるし、いろいろな競技から集まっている。様々な考え方に触れると、自分の新たな気づきやモチベーションにも繋がりますね」

 1年間のプログラムでもあるA-MAPは後半となり、ここからは実践として自らがアクションをとる機会が増える。スポーツと福島を繋ぐグランドデザインを現実のものとするためにも、ビジネスを意識した実践経験を重ねることがカギとなる。ビジネスの世界でも生かしていきたいスポーツで身につけたスキルについて聞くと、大野さんはすかさず「傾聴力ですね」と言った。

「まずはしっかり人の話や意見を聞くこと。これは引き続き、実践していきたいと思います。傾聴力はどの場面でも大事ですから。そして、スポーツをやってきた者として、自分の意見もしっかり伝えていきたいですね。SNSを頻繁に更新するタイプではありませんが(苦笑)、自分なりの発信力も身につけていきたいと思います」

 高い評価を受け、大きな期待を寄せられた大野さんのグランドデザイン。課題発表の枠にとどまらず、近い将来、現実のプランとして動き出すことを願いたい。

(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)

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