日本の高校野球と通じるリトルリーグの人気 総額66億円の放映権料は何に使われるのか
「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「リトルリーグワールドシリーズと放送権料」について。
連載「Sports From USA」―今回は「リトルリーグワールドシリーズと放送権料」
「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「リトルリーグワールドシリーズと放送権料」について。
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米国ペンシルバニア州ウィリアムズポートで行われたリトルリーグワールドシリーズが終了した。
この球場では8月22日に「リトルリーグ・クラシック」と呼ばれるメジャーリーグの試合、エンゼルス―インディアンス戦が行われた。エンゼルスの大谷翔平選手が出場したことから、テレビの画面を通じて球場の様子や、選手が子どもたちと触れ合う様子を見た人もいるだろう。
リトルリーグワールドシリーズは 1963年に初めてテレビ中継された。2000年代に入るとスポーツ専門チャンネルのESPNで25~30試合程度が中継されるようになった。ESPNとリトルリーグは2013年に、2022年までに8年契約総額6000万ドル(約66億円)で契約しており、1年あたりおよそ750万ドル(約8億2000万円)だ。
放送局側には、10歳から12歳の子どもたちの野球中継に放送権料を支払う理由がある。
2019年のベースボール・アメリカ誌電子版の報道によると、2018年のリトルリーグワールドシリーズの優勝決定戦は、その年、最も多くの注目された野球の試合のひとつであり、オールスターを除く同年のメジャーリーグのレギュラーシーズンのどの試合よりも視聴率が高かったという。こういった人気を受けてESPNはリトルリーグワールドシリーズの放送契約を2030年まで新たに結び直した。(この新しい契約は2023年から有効になるため、現在は放送権料などの契約の詳細は明らかにされていない)
専門家たちは、この人気の要因について、野球ファンがノスタルジアを感じ、子どもたちの笑顔や友情を見たりするのが好きなようだと分析している。子どもたちはお金のために戦っているわけではない。短い大会期間の中で、各チームが直面するドラマや、地域同士のライバル関係のストーリーにも需要がある。今年は新型コロナウイルスの影響で海外チームは参加していないが、国際間の試合なども魅力のようだ。
リトルリーグワールドシリーズの選手たちは、まだ、子どもらしいかわいらしさにもあふれている。ファンのノスタルジアをかきたて、短期間の大会、地域や国の代表、子どもの笑顔や友情が人気という分析は、選手の年齢は違うが、日本の高校野球の人気にも通じるところがあるだろう。