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米国は「物語性のあるスター」をなぜ欠いた 舌鋒鋭い米紙記者が指摘した五輪報道の教訓

「THE ANSWER」は東京五輪の大会期間中「オリンピックのミカタ」と題し、実施される競技の新たな知識・視点のほか、平和・人権・多様性など五輪を通して得られる多様な“見方”を随時発信。開催を巡る是非が問われる中、来日した「海外記者のミカタ」も紹介する。

米紙「ロサンゼルス・タイムズ」の記者に「米国でのオリンピック報道」について聞いた【写真:Getty Images】
米紙「ロサンゼルス・タイムズ」の記者に「米国でのオリンピック報道」について聞いた【写真:Getty Images】

「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#100

「THE ANSWER」は東京五輪の大会期間中「オリンピックのミカタ」と題し、実施される競技の新たな知識・視点のほか、平和・人権・多様性など五輪を通して得られる多様な“見方”を随時発信。開催を巡る是非が問われる中、来日した「海外記者のミカタ」も紹介する。

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 第9回は米紙「ロサンゼルス・タイムズ」のスポーツコラムニスト、ディラン・ヘルナンデスさんだ。2018年平昌五輪の取材経験を持ち、MLB、ボクシング、サッカーなど幅広くカバー。英語、スペイン語、日本語の3か国語を操り、独自の視点であらゆるトピックスを鋭く斬るスタイルが持ち味。今回は日本人の母を持ち、子どもの頃から何度も来日経験があるディランさんに「米国でのオリンピック報道」について聞いた。(取材・構成=THE ANSWER編集部・佐藤 直子)

 ◇ ◇ ◇

 今回の東京オリンピックに関するアメリカでの報道は、正直なところ、それほど盛り上がりませんでした。独占放映権を持っていたNBCは過去最多のコメンテーターを起用する熱の入れようでしたが、蓋を開けてみると思っていたほど数字が伸びず。リオデジャネイロ大会に比べると、視聴者数は半減したとも言われています。関係者たちは「本当にがっかりだ」とため息をついていました。

 もちろん、日本とアメリカの間にある時差は原因の一つでしょう。ですが、それ以外にも考えられる原因がいくつかあります。一つは、今回の米国代表選手にストーリーを持つアスリートがいなかったことです。

 東京オリンピックでの一番のビッグストーリーになったのは、女子体操代表のシモーネ・バイルズ選手がメンタルヘルスの問題を理由に団体決勝を棄権したことでした。アメリカで体操は人気の高いスポーツです。特に、女性からは大人気で、その注目競技の選手が途中棄権したこと、しかも団体決勝に出なかったことは大きな話題となりました。

 でも、これを超えるビッグニュースはなし。男子バスケットボールに出場したNBAのケビン・デュラント選手、女子サッカーのミーガン・ラピノー選手も人気があり、2人ともメダルを獲得しましたが、勝って当然な競技なので特に話題にもならず。野球もメジャー選手の参加が認められず、集まったのは3Aレベルの選手たち。オリンピックの開催期間中もシーズンは続行し、トレード期限の前には活発な動きを見せるなど、なかなか野球ファンの興味を惹きつけることはできませんでした。

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