【現地コラム】平野歩夢が生んだ“中断のち熱狂”の瞬間 最後に響いた「USA」コール
最後の最後で生まれた逆転劇、場内に響き渡った「USA」コール
95.25点で残り2人と戦う。まずはジェームスだったが、エアで転倒した。これで銀以上。その色はホワイトの滑り次第に。だが、王者の滑りは完璧だった。
【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら
激しいガッツポーズで、勝利をアピールするホワイトに、場内からは「USA」コールが響く。日本人ファンの間には、なんとも言えない空気が漂ったが、それも一瞬だった。「ショーン・ホワイトってやっぱりすごいんだね」。そんな声が、漏れてきた。悔しさよりも“いいもの”が見られたという感覚が上回ったのだろう。
平野は惜しくも届かなかった。関係者は「平野はXゲームズの時と内容はさほど変わらなかったが、99.00点を出した当時に比べれば、ほんのわずかにエアが低かった」とみていた。ホワイトについては「1本目で出た94.25点というスコアで今日の流れを作ったと言っていい。本人もあれで、気持ちが楽になり、3本目の会心のエアにつなげられたのだろう」と分析していた。
平野は悔しい2大会連続での銀メダル。だが、表彰式でも、その後も、表情は晴れやかだった。ミックスゾーンでは何度も、ギャラリーとの写真撮影に応じた。
前日の独占インタビューでは「あとは、やれることしかやれない。自分の滑りというか、やれることをやってそれがいい結果になればいい」と話してくれた19歳。やれることをやっての、結果が銀メダル。充実感でいっぱいだったに違いない。
期待したいのは、4年後、北京五輪でのホワイトとの再戦。頂点に立つときは、レジェンドを倒して――。そんなシーンを今から描きたくなる。
(THE ANSWER編集部)