「コラッ、マツ!」 松田直樹を何度も怒り、それでも愛した前橋育英の恩師の哀惜
「先生、選手権勝たなきゃダメだよ」 言われてズシンと心に響いた言葉
マツは直情型。思ったらすぐにぶつけたくなるんだろうな。だけど裏表がない。サッカーに関しては本当にまっすぐ。直樹、その名の通りだと思ったよ。
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高校のときも「U-18ではこうでした」と言ってくるけど、「ここは代表じゃない。前橋育英には前橋育英のやり方があるから」って伝えていたよな。「サッカーには答えがないんだから」とも。そうしたらマツもいつのときだったか「先生、サッカーに答えはないですよ」って。それ、俺が使っていた言葉だからな、マツ(笑)
マツからの着信に出たら、シマ(大島秀夫)だったから「これマツの電話だろ」って言った後に「先生~」って出てきたり、山本(昌邦)さんと食事したときに俺が電話しても出ないのに、山本さんが電話すると出たり。そんなこともあったな。
2009年の正月に群馬でサッカーイベントをやって、前橋育英のOBにいっぱい集まってもらってみんなで夜遅くまで飲んだよな。あのとき「先生、選手権勝たなきゃダメだよ」って言われたときはズシンと心に響いたよ。
2017年度の全国高校選手権で初めて優勝したとき、マツが生きていたらと思ったよ。マツに見てほしかった。日本一になったぞって目の前で言ってやりたかった。
今でも部員にマツのことはよく話す。マツならこの場面で闘うぞ、とか。マツの横断幕を試合のときに掲出しているから、こんな試合をしてマツが怒っているぞ、とか。前橋育英にマツの影響力は、ずっと続いているよ。
天国から見ておいてくれ。
今年も来年もその先も、選手権優勝にチャレンジしていくから。
前橋育英高校校長 サッカー部監督
山田耕介
(二宮 寿朗 / Toshio Ninomiya)