【月間表彰】「絶好調ではない」イニエスタの縦パスが凄い 闘莉王が見たワールドクラスのプレー
サッカー界で最も熱い男が選んだ、漢を感じる熱いプレーとは。
闘将を熱くさせたワンプレーを選出、6月はイニエスタの「縦パスはすべてがハイレベル」
サッカー界で最も熱い男が選んだ、漢を感じる熱いプレーとは。
ヴィッセル神戸に所属する元スペインMFアンドレス・イニエスタが、6月23日のJ1リーグ第19節横浜FC戦で、芸術的な浮き球パスからで、日本代表FW古橋亨梧のゴールを完璧にアシストした。2019年限りで現役引退した元日本代表DF田中マルクス闘莉王氏は、スポーツチャンネル「DAZN」のパートナーメディアで構成される「DAZN Jリーグ推進委員会」との企画で、6月のJリーグ「月間最熱モーメント」にマエストロの超絶アシストを選出。「THE ANSWER」のインタビューで闘莉王氏は、イニエスタしか見えない風景について語っている。(取材・文=THE ANSWER編集部)
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「最近、ケガなどでイニエスタらしいプレーがなかなか出せなかったなか、あのプレーを見て復活してきたなと感じた。古橋選手の良さを存分に生かす、あのパスにはすべてがあった」
闘莉王氏は手放しで称賛したプレーは前半31分に生まれた。一瞬でボールを右足にもちかえると、相手ディフェンスラインの裏に走り込む古橋の動きに合わせて、右足で浮き球パスを放つ。完璧なアシストとなった。
「あの縦パスはすべてがハイレベル。タッチの部分の優しさもそう。パスの角度も凄く難しい。少しでもコースがずれると、DFにカットされてしまう。GKに流れてしまいかねない状況の中でもあった。横からのアングルなら簡単に見える。縦の一本のパス。角度としては難しい。古橋選手の良さをしていないと、ああいうパスは出ない。相手DFのミスも誘っている。そこまで計算しているのが他の選手との違い」
ワンプレーで守備陣を無力化したイニエスタの凄みを闘莉王氏はこう絶賛している。そして、生まれついた才能の賜物でもあるという。
「ああいう選手は試合を真上から見ている。パスを出す角度とも考えることも違う」
イニエスタの目には他の選手とは違う風景が広がっていると闘莉王氏は語る。同じフィールドでプレーしながらも、上から見下ろしている。まるで俯瞰図のように相手、味方の位置を把握しているという。
「俯瞰力は生まれつきのものだと思う。練習や努力で身に付くものではない。数少ない選手しかできない。どれだけ勉強しても身につかない部分」
闘莉王氏は力説していた。イニエスタは昨年12月の試合中に右太ももの腱断裂で全治4ヶ月の大ケガを負った。手術を経て完全復活の道を歩んでいるが、「まだ絶好調ではないイニエスタなのに、あのクオリティのパスが出せる。ワールドクラスは違うなと感心させられました」と語り、超絶アシストを高く評価していた。
■田中マルクス闘莉王
1981年4月24日生まれ、ブラジル出身。渋谷教育学園幕張高を卒業後、2001年にJ1広島でプロデビュー。06年に浦和のリーグ初優勝に貢献し、同年のJリーグMVPに輝く。07年にACL優勝、名古屋移籍後の10年に自身2度目のJ1制覇。03年の日本国籍取得後は日本代表としても活躍し、04年アテネ五輪、10年南アフリカW杯に出場。日本代表43試合8得点の成績を残した。19年12月にJ2京都で現役引退。現在はブラジルで実業家として活動する傍ら、公式YouTubeチャンネル「闘莉王TV」も話題に
(THE ANSWER編集部)