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私が「バスケで生きていく」と決めた日 オコエ桃仁花を変えた高3のナイジェリアの記憶

ディズニーアニメ「リロ&ステッチ」のリロになりたかった少女時代。助っ人として参加したバスケットボール大会でMVPを獲得したことで運命が変わった。導かれるようにバスケットボールの世界に足を踏み入れ、気がつけば日本代表選手としてプレーするようになっていた。日本とナイジェリア。2つのルーツを持つオコエ桃仁花は「バスケが好きではなかった」過去と決別、父の国を訪れたことで「バスケで生きていく」と心に決めた22歳は、1日に発表された東京五輪代表の座を掴んだ。(文=THE ANSWER編集部)

東京五輪代表オコエ桃仁花が語るバスケ人生の転機【写真:長谷川明】
東京五輪代表オコエ桃仁花が語るバスケ人生の転機【写真:長谷川明】

東京五輪代表の22歳、やめるはずだったバスケで切り開いた人生

 ディズニーアニメ「リロ&ステッチ」のリロになりたかった少女時代。助っ人として参加したバスケットボール大会でMVPを獲得したことで運命が変わった。導かれるようにバスケットボールの世界に足を踏み入れ、気がつけば日本代表選手としてプレーするようになっていた。日本とナイジェリア。2つのルーツを持つオコエ桃仁花は「バスケが好きではなかった」過去と決別、父の国を訪れたことで「バスケで生きていく」と心に決めた22歳は、1日に発表された東京五輪代表の座を掴んだ。(文=THE ANSWER編集部)

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 夢だったオリンピック出場が目前に迫るなか、オコエ桃仁花は世界最強を誇るアメリカ代表との対戦について「不安です」と苦笑いで正直すぎる本音を吐露した。それでも、「日本の練習量はすごいので、自信につながると思う」とちょっとだけ自信を覗かせた。それはきっと彼女なりの成長の手応えを感じているからだ。

「運動は好きじゃなかったんです。走るのも面倒くさいぐらいで(笑)」

 そう語るバスケットボールとの出会いはなかなかに面白い。ディズニーアニメの「リロ&ステッチ」のリロになりたかったオコエは、小学生のとき、地元のフラダンス教室に通っていた。人数が足りなかったことで助っ人としてバスケットボール大会に呼ばれ、そして初めて出場したこの大会でMVPを獲得した。

「だけど、別にバスケは全然好きじゃなかったので、そんなに……」

 大会が終わればフラダンスを続けるつもりだった。「両立できないから、どっちかにしなさい」と母から助言を受けたときも、迷わず「フラダンスにする!」と答えた。しかし翌日、母がフラダンス教室に連絡を入れ、「やめます」と伝えてしまった。その結果、「バスケを始めることになったんです」と笑った。

 オコエの意思とは関係なく、バスケットボールを続けることになった。とはいえバスケットボールの練習はボールを使わない基礎練習を含めて相当にきついはずだが、なぜ続けられたのだろうか。

「当たり前という感覚でやっていたんです。楽しいとか、楽しくないという感情はなかった。自分にとっては学校の勉強と同じで、人生においてやらなきゃいけないものという感覚でやっていましたね」

 もちろん今は、人生を懸けてバスケットボールに取り組んでいる。ただオコエの場合、高校3年生になるまでバスケが好きではなかったというから驚きだ。では、何がオコエを変えたのだろうか。それは、物心がついてからは初めて訪れた父の祖国・ナイジェリアを旅したことだった。

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