サントリーVSパナソニック、最後のトップリーグ決勝展望 準決惜敗OB2人の一致したV予想
来季からプロリーグに移行するため、今季が最後の開催となることが決まっているラグビートップリーグ2021の決勝戦は、23日に東京・秩父宮ラグビー場で行われる。
菊谷崇氏、山神孝志氏が決勝を展望
来季からプロリーグに移行するため、今季が最後の開催となることが決まっているラグビートップリーグ2021の決勝戦は、23日に東京・秩父宮ラグビー場で行われる。
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2003年にスタート以来、計18シーズンにわたって日本ラグビーを牽引してきたトップリーグ最後の一戦となる“ザ・ファイナル”に勝ち上がったのは、サントリーサンゴリアスとパナソニックワイルドナイツ。
共に4強入りを果たしながらあと一歩決勝に届かなかった2チームのOBで、かつ花園での準決勝も現地観戦した菊谷崇氏(元日本代表主将=元トヨタ自動車所属)、山神孝志氏(前日本代表チーム15人制強化部門長=元クボタ所属)のふたりに、今季ここまでの両チームの戦いぶりを踏まえた上で、決勝戦の展望を勝敗予想も含めて占ってもらった。(取材・文=出村謙知)
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まずは、大阪・東花園ラグビー場で行われた準決勝2試合を振り返ってもらった。
15日に行われた第1試合ではパナソニックが48-21でトヨタ自動車に快勝。
「パナソニックはシーズンを通して戦い方が確立されていて、前半はしっかり守って、後半ギアを入れていくというのが基本スタイル。と、思ったら、いきなり堅樹(WTB福岡)が行って、トヨタDF の詰めのミスもあって、一気にノーホイッスルトライ。トーナメントなのでいきなり仕掛けてきたなという感じ。でも、そのあとはいつもどおりのパナソニックのラグビーを貫いていた」
菊谷氏がそう振り返ってくれたとおり、いきなりキックオフから、医学部進学のため今季での引退を表明している福岡が先制トライを奪ってリードしたパナソニックだったが、前半5分、9分、16分とトヨタ自動車に3連続トライを決められ、序盤10点のビハインドを背負う展開となった。
実は、トヨタ自動車出身の菊谷氏、そしてNHKの解説者として、よりフラットな立場で無観客だった花園ラグビー場のスタンドにいた山神氏もこの試合の一番のポイントに挙げたのが、結果的に前半リードしたトヨタ自動車の勢いを止めることにつながるパナソニックのベンチワークだった。
ロビー・ディーンズ監督は、前半21分の時点で早くも先発HO島根一磨に代えてベテランHO堀江翔太を投入する決断を下した。
「いきなり準備してきたとおりのプレーでノーホイッスルトライが取れたことで、逆にうまくテンションを保てない時間帯が前半にきた。ラインアウトのミスが続いたり、パナソニックが得意としていたところが崩れ始めたのをみて経験値の高い選手(堀江)を投入して、そこをうまく締めた。ベンチが全く躊躇しなかったのは見事だった」(山神氏)
前半、SO松田力也の3PG+1DGで追い上げた後(ハーフタイムのスコアは18-17でトヨタ自動車がリード)、後半はいつも通り、福岡の2トライも含む計4トライを一方的に重ねた。
「後半はボールキャリー能力に長けたインパクトプレーヤーが次々に投入されて、チーム全体が一気にギアを上げられる。集中力と役割の明確化、勝つポイントを完全に理解しているパナソニックのレベルの高さばかりが目立った」(菊谷氏)