卓球新世代がこんなに強いワケ 現役選手が感じた、10代選手に共通する「強さの源」
森薗が感じた10代選手に共通する速さ「今後のトレンドになるんじゃないか」
史上最年少の3冠に輝いた伊藤は「本当にとっても嬉しい。一戦一戦やり切ったことが3冠に繋がった。決勝(の平野と)は、一昨年の全日本準決勝で0-4で負けている相手だったので、全日本の借りを返したくて思い切ってプレーした。平野選手とは決勝で当たれたらいいなと思っていたし、大きな舞台の決勝で同級生と戦えたことはとても幸せで、そこで絶対勝ちたいと思っていたので優勝することができて良かった。
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準決勝で石川選手に昨年のチェコオープンに続けて勝てたことで自信になった。早田選手とは昨年ダブルスを組んでずっと戦ってきて結果も出したり、世界選手権の選考会決勝でも対戦したりして、将来の自分たちがすごく楽しみだと思ったし、昨年の全日本で優勝してアジア選手権にも優勝、世界選手権シングルス銅メダリストになってすごく変わった1年を送った平野選手から刺激を受けた自分も昨年は変われた1年だった」と、切磋琢磨し合える同い年のライバルの存在に感謝していた。
今回の全日本で男女シングルスとも10代選手が初優勝を飾り、女子ダブルスでも17歳コンビが初の栄冠を勝ち取った。なぜ、10代選手がこれほど活躍できたのだろうか。昨年のアジア選手権で優勝した平野の快挙を間近で見て、ピッチの速いショットを打つ平野の練習法を取り入れたという森薗は、その背景をこう分析した。
「(平野)美宇ちゃんの良さは(ピッチの)速さですね。ここ最近、ボールの質がプラスチックに変わって、それから上位に来る選手というのがやっぱり若い選手がすごく多くなってきた。その人たちの特徴というのが(ピッチの)速さで、張本にしろ、美宇ちゃんにしろ、(伊藤)美誠ちゃんにしろ、やっぱり速さがある。
今後のトレンドになってくるんじゃないかなと自分の中で思ったので、普段の美宇ちゃんがナショナルトレーニングセンターで行っている練習を隣で見ていて、自分もいろいろ取り入れさせてもらって、すごくやりながら良くなっている実感があるので、すごいなと思った。美宇ちゃんの練習を取り入れる前と比べると、今の自分のプレーの速さは倍くらいになった」
10代選手に共通する「ピッチの速さ」が強さの源だというそのプレースタイルを、優勝した張本と伊藤、そして平野も持っており、他選手を圧倒するほど際立っていた。東京五輪に向けたこの2年余りで、さらに一段と「黄金世代」の成長が見込まれるだけに、新世代の活躍の場がますます広がりをみせるはずだ。
(辛 仁夏 / Synn Yinha)