【月間表彰】鳥栖はなぜ失点が少ないのか 元日本代表が絶賛する、GK朴一圭の卓越したセービング力
失点が少ないのはGKとしての基礎がしっかりしているからこそ
今季、鳥栖は開幕から6試合連続で無失点を記録。これはJリーグにおける開幕からの史上最長タイ記録で、守護神としてゴールマウスを守る朴の存在抜きには語れない偉業だ。ゴールを守りつつもそれだけでは終わらない特異なプレースタイルについて、楢﨑氏はこのように言及した。
「アグレッシブなプレースタイルに目が行きがちですが、GKとしての基礎的なスキルがしっかりしているからこそチームとして失点が少ないのでしょう。現代のGKはさまざまな仕事を求められますが、攻撃への関与に意識が傾き過ぎて失点したら元も子もありません。しっかりゴールを守れるからこそ攻撃面が生きるのです」
楢﨑氏は他の試合からも朴が窮地を救ったシーンをピックアップ。第11節のFC東京戦でも好セーブを披露し、鳥栖を2-1の勝利に導いた。
「ミドルシュートへの対応だけでなく、至近距離からのシュートをブロックするプレーや、近距離からのヘディングシュートを防いだ場面もありました。4月の朴選手のパフォーマンスは総合的に優れていたと思いますし、試合の勝敗に直結するプレーが多かった。鳥栖の場合、押し込んだ状況からカウンターを受ける場面もあっただけに、最後の最後でしっかりシュートを防いでくれる朴選手の存在はとても大きい」
元日本代表GKから最大限の賛辞を受け、新時代のGKスタイルがJリーグで輝きを放つ。攻守両面でハイレベルを実践する朴一圭が、鳥栖の快進撃を最後尾から支えている。
■楢﨑正剛
1976年4月15日生まれ、奈良県出身。1995年に奈良育英高から横浜フリューゲルスに加入。ルーキーながら正GKの座を射止めると、翌年にJリーグベストイレブンに初選出された。98年シーズン限りでの横浜フリューゲルス消滅が決まった後、99年に名古屋グランパスエイトへ移籍。2010年には、初のJ1リーグ優勝を経験し、GK初のMVPに輝いた。日本代表としても活躍し、国際大会では2000年のシドニー五輪(OA枠)、02年日韓W杯などに出場。19年1月に現役引退を発表し、現在は名古屋の「クラブスペシャルフェロー」に加え、「アカデミーダイレクター補佐」および「アカデミーGKコーチ」を兼任。21年からはJFAコーチとしても活躍している。
(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)