春高バレーがどんな大会かも分からず… 迫田さおり、異端のバレーボール人生
「普通の就職」のつもりで東レへ「実業団に“全日本”というチームがあると…」
「中学も高校もどんなに厳しくても、始めたからには3年間、部活は続けようと決めていました。でも、将来も実業団で続けようなんて想像さえもしたことがなかった。高校での“楽しい気持ち”が、その後のバレーボール人生につながったと思います」
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そんななか、迫田は高校3年次に鹿児島県選抜に選ばれる。チームは国体で3位入賞。恐らくこれが、東レアローズから声を掛けられたきっかけだった、と振り返る。
「うちでは、グラチャンや世界バレー、ワールドカップ、オリンピックと大きな大会があると、いつも家族みんなでテレビを観ていました。でも、私自身はそれほど興味がなくて、眺めている程度。実業団のことをまったくわかっておらず、“全日本”というチームがあると思っていたくらいです」
だから、東レアローズに決めたときも「普通の就職と同じ感覚だった」という。
「もちろん、入団する前にプレミアリーグも何度か見に行きました。でも、そこに入ることについて本当に深く考えていなかった。何もわからなかったからこそ、決められたんだとも思います(笑)」
いざ東レに入団すると、迫田は「私が来る世界ではない」とショックを受ける。
「来る日も来る日も、監督や先輩に厳しく指導されたり怒られたりで、コートにさえ立てない。私は必要とされていない選手なんだと感じ、たまらずマネージャーに『選手をやめて別の立場からチームに貢献したい』と申し出たことも。でも『選手として入団したのだから選手として頑張れ』と言われました」