【月間表彰】J1得点王&MVPオルンガ、雪上“40m超”カウンター弾 闘莉王“因縁”の相手に見る最強助っ人の共通点は?
オルンガが8得点した京都戦は闘莉王氏にとって現役ラストマッチ「鼻が折れて…」
オルンガは2018年夏に柏に加入すると、その年にはJ2降格となったが、昨年は30試合27得点し、最終節の京都サンガF.C.戦(1-13)には1試合8得点という偉業を達成。今季は、規格外のフィジカル能力を見せながら32試合で28点をマークして、2位のエヴェラウド(鹿島アントラーズ)に10点差をつける圧倒的な独走での得点王獲得となった。この活躍を受けて、アフリカ人選手で初めてのMVPを受賞。ベストイレブン入りも果たす“トリプル載冠”となった。
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そんなオルンガは闘莉王氏にとって、“因縁”の相手。オルンガが1試合で8点をマークした一戦は、闘莉王氏の現役最終戦でもあった。さらに、この試合で闘莉王氏は前半途中に接触プレーにより負傷し、無念の途中交代。鼻骨骨折などの大けがを負い、人生で初めて救急車で搬送された。その後、プレーオフ圏内浮上を狙ったチームは大量失点を重ね、1-13で大敗した。
「オルンガの名前を聞くだけで鼻がちょっと痛くなる気がしますね(笑)。鼻が折れて、でも少しでもピッチに戻りたいという気持ちがあったなかでなかなか戻れなかった。僕は(オルンガと)あまりマッチアップしていなかったので、もっと対戦したかったなと。この1年でどんどん進化し続けている。いろんなパターンもあって、オルンガは左もすごく上手いけど、右も強烈なシュートを持っている。10回あれば1回決める…そういう選手はたくさんいるけど、オルンガは決定率がすごく高い」
これまで歴代の助っ人選手の中でも“最強クラス”と呼び声も高いオルンガ。闘莉王氏は現役時代に、ブラジル人FWエメルソンや元ブラジル代表FWワシントン、元豪州代表FWケネディら強力ストライカーの後ろを守ってきた。Jリーグ史に名を残す助っ人の“共通点”を考えると、DFのクリアやロングパスをしっかり収め、1点につなげる技術に長けているという。闘将はオルンガもこれが得意なプレーだと指摘した。
「僕、オルンガの好きなプレーがある。昔エメ(ルソン)、ワシントン、ケネディも得意だったんですが、DFがクリアをして、その高いバウンドに対して、DFと競り合う。オルンガは必ずタイミングを外して前にこぼす。このプレーは強さ、うまさ、速さ、最後にゴールを決める実力全てが含まれている」
Jリーグで数々の経験を積んだ闘莉王氏は、かつて歴史に名を刻んできた“先輩助っ人”と比べるには「まだ早い」としながらも、「トップ選手になりつつある」と確信する。闘将にとっては、苦い思い出だったオルンガ。それでも、闘莉王氏だからこそ、この飛躍は称賛に値するものだったようだ。
■田中マルクス闘莉王
1981年4月24日生まれ、ブラジル出身。渋谷教育学園幕張高を卒業後、2001年にJ1広島でプロデビュー。06年に浦和のリーグ初優勝に貢献し、同年のJリーグMVPに輝く。07年にACL優勝、名古屋移籍後の10年に自身2度目のJ1制覇。03年の日本国籍取得後は日本代表としても活躍し、04年アテネ五輪、10年南アフリカW杯に出場。日本代表43試合8得点の成績を残した。19年12月にJ2京都で現役引退。現在はブラジルで実業家として活動する傍ら、公式YouTubeチャンネル「闘莉王TV」も話題に。
(小杉 舞 / Mai Kosugi)