守備、パス、基礎、心構え…元バスケット日本代表が語る成長のポイントとは
ディフェンスは「相手に負けたくないと本気で思うと人間重心が下がるもの」
また、「長くプレーし続けている選手やチームに大切にされる選手は、自分勝手な選手はいないし、思いやりのない選手もいないです。バスケットボールだけではなく、普段の生活にも繋がる大切なことを普通にできる選手こそが素晴らしい選手だと思うし、そういう選手が長く残っていく選手だと思っています。周りの仲間を思いやる気持ち、そして親御さん、先生、コーチの方々にも感謝の気持ちを持って生活できる選手が、本当にいい選手だと思いますので、僕はそういったことを意識して取り組んでいました」と、心構えや普段の振る舞いの重要性も説いた。
この日は子供たちからの質問にも丁寧に回答。ディフェンス時に腰が高くなってしまうという子供には「僕もディフェンスがあまり得意ではないんですけど、やっぱり試合で負けたくないとか、この相手に負けたくないと本気で思うと人間重心が下がるもので(笑)、やっぱり大切なのは、バスケットボールは習慣のスポーツなので、日頃の練習から癖をつけなければいけない。いいディフェンスをする選手は、スタンスが広くて重心が落ちている。自分が苦手だなと思ったら、ディフェンスのうまい選手のプレーを見たりして、普段の練習からそこを意識して取り組んでほしい。普段の練習で苦手なディフェンスを率先してやっていると、気付いたら良くなっているというか、出来るようになっていると思う。一気には良くならないので、少しずつ、一歩一歩上達できるように、考えながら練習に取り組んで下さい」とアドバイスを送った。
また、パスの上達に悩む子供には「パスは相手がいることなので、自分ひとりの問題ではないです。まずはそのパスを送りたい相手にしっかりとパスを届けたい、通したいという気持ち、それはさっき言った思いやりにも、そしてチームワークにも繋がっていくことなんですけど、そういう思いがないと普通に通るパスも通らなかったりする。心から本当にチームメイトにいいパスを届けたい、という思いを普段の練習から、単純な普通のパスでも、その気持ちを強く持って取り組んでいくと、邪魔をしてくるディフェンスの動きが自然と見えてくると思う。そういった意識を毎日欠かさず、習慣づけていくことが大切だと思います」と、語りかけた。
トップ選手であっても「基礎」や「心構え」を決しておろそかにしていない。いかに育成年代にそれらを意識して身に着けることができるか。未来の日本代表選手を目指す子供たちも、真剣な表情でそのアドバイスに聞き入っていた。
【了】
ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer
村上正広●写真 photo by Masahiro Murakami