被災地から日の丸へ― 元バスケ日本代表戦士が故郷で果たした“夢の出会い”
「松川スポーツ少年団ミニバスケットボール部」に直接指導を行った渡邉拓馬氏【写真:村上正広】
「それが努力とも思わなかった」―子供たちに明かした“成長の軌跡”
会場からほど近い、蓬来町出身の渡邉氏。「すぐ近くの蓬莱東小から日本代表になったり、海外の試合に行ったりした経験を少しでも伝えたい」と思いを込め、この日は現役時代に実際に使っていた練習メニューでドリブル、オフェンスの動きなどを細かく指導した。お手本で演じたシュート練習では10本以上ノーミスで成功。元トップ選手の技術力に思わず、どよめきが漏れた。
約2時間にわたる指導を終え、設けられたのはトークコーナーだ。福島から日本代表に羽ばたいていくまでの過程を、秘話を交えて披露した。
生徒たちと同じ小学校時代を振り返り、渡邉氏は「バスケしかやってこなかった。休みの日も体育館に行ってずっと練習。でも、バスケが遊びみたいだったから」と回想。武器だった正確なシュートを生んだ要因は「高校時代、4時から7時は全体練習。その後は7~10時まで一人でシュート練習をやっていた」と明かした。
「壁にボールを当ててパスに見立てた。でも、それが努力とも思わなかった。うまくなるためにやっていただけのことだから」と成長の軌跡を語りかけた。さらに、生徒からの質問コーナーでは「尊敬するプレーヤーは誰ですか」「田臥選手の凄いところはどこですか」など、子供たちから次々と手が挙がり、交流した。
そして、イベントの締めくくりは「夢宣言」だった。