五輪の舞台に届かなかったマラソン人生 それでも出会えた「新しい自分」
マラソンは人間力を問われる競技
マラソン転向から6年近く経った2003年8月の世界陸上パリ大会で銅メダルを獲得する。ケガを繰り返しながらも、「線」の取り組みが成果として表れた瞬間であった。
「フルマラソンという競技は凄く難しくて、積み上げてきた人間力というものが出る競技なんだな、と。ハーフマラソンまでは練習どおり、言われたとおりに走れるのですが、フルマラソンはそうはいきません。長いレースのなかで起こることに対して、考えて判断する能力も必要になってくる。その意味で積み重ねてきた自分の経験を活かすことができるようになってきたかなという実感はありました」
レースにはイレギュラーなことが待っている。どう対応して、自分のペースを貫いて走っていけるのか。
彼女は走ることを通じ、人として強くなっていった。
「体を鍛えることによって心も強くなる。結果が良かったときより悪かったときのほうが学ぶべきことが多かったですね。陸上競技、マラソンに生きる術というものを教えてもらいました」