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佐藤琢磨、43歳で現役にこだわる理由 若手が知るべき野心「リアルな姿を見てほしい」

チームで挑戦するからこそ得られる「大きな達成感」

◇大舞台に強いベテランが連覇へ再挑戦

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 そして、シーズン終了から3日後には、8月に劇的な優勝を遂げた舞台のインディアナ・モータースピードウェイにいた。来季のパッケージを決めるためのリーグのテスト走行に参加するためだった。今年のインディ500で最速のマシンを作り上げることに成功したチームにとって、3度目のビッグタイトル獲得への好材料となりそうなこともある。

「毎年パッケージが変わっている中、2021年はコロナの影響もあって大きくは変わらないので、継続して力を出せるんじゃないかと考えている。インディ500の連覇は最高にして最大の目標であり、それを夢に2021年も頑張りたい」

 インディ500の連覇となれば、02年のエリオ・カストロネベス(ブラジル)以来、19年ぶりの快挙となる。インディカーでの活動期間が、F1時代(02~08年)を上回り、フル参戦しているドライバーでは現役最年長となった。

 17年には日本人初の歴史的なインディ500制覇。そして、今年は史上20人目となる複数回勝利を達成した。40歳を超えてから伝統レースを2度制し、年齢を重ねるごとに強さが増している印象を受ける。インディアナ・モータースピードウェイ公式サイトによると、44歳を超えてからの優勝は過去4人しかいないという。

 最近5年間でインディ500を2度制し、昨季は3位。この期間、伝統レースでこれほど好成績を残している現役ドライバーは他にいない。通算6勝のうち、2勝がインディ500と大舞台での強さが際立っており、3度目の制覇に期待が高まるのは当然だ。そしてその先には、過去3人しかいない最多の4度優勝という挑戦も待ち受ける。インディカー史に残る名ドライバーとしての地位を築きつつある。

◇ハングリー精神の土台は飽くなき向上心とレース愛

 日本人ドライバーとしてレジェンドの域に達した感もある43歳が走り続ける理由はどこにあるのか。

「やっぱりレースが根っから好きなんでしょうね。モータースポーツは何百ものパーツからマシンを作り上げて走る。セッティングを施してチーム一丸となって走る。ドライバーもその一部でしかない。それを全員でやることに大きな達成感がある。自分が思い描いている理想もあり、チャンピオンシップを勝ちたいけど、それができないと、『なぜだ、このままでは終われないぞ』という思いも出てくるわけですよ」

 ここまでの道のりが平坦ではなかったことも、ハングリーでいられる要因の一つだ。F1では02年にデビューを飾ったものの、勝利を挙げられずに08年に所属チームが撤退し、挫折を味わった。その後、活路を求めたインディカー・シリーズでは17年にインディ500を制するまで華々しい活躍はなかった。失敗や苦労を乗り越えてきたベテランだからこそ、ドライバーシートを簡単に譲れないという気持ちは強くある。

「F1もインディ参戦当初も挑戦をして失敗をして、崖っぷちからはい上がることが多かったので満足できないんでしょうね、まだ。インディ500を2度勝ったことはほんとにうれしいですし、恵まれていると感じますけども、自分としてはまだメンタル的にもフィジカル的にもやれるという思いがある中、ここでやめるわけにはいかないぞ、と」。飽くなき向上心が走り続ける原動力となっている。

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