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「逃げるな」 ブラインドマラソン道下美里を競技者へと変えた伴走者の言葉

「チーム道下」は仲間と一緒にみんなで東京パラリンピックを走る【写真:Getty Images】
「チーム道下」は仲間と一緒にみんなで東京パラリンピックを走る【写真:Getty Images】

「まだ夢の途中。東京では一緒に戦ってきた仲間と喜びを分かち合いたい」

 こんなこともあったという。初めて世界記録を樹立した2014年の防府読売マラソンは、道下が生まれ育った山口で開催された大会だった。

「多分、記録だけを見ると、2013年くらいから世界記録は出ていたんです。でも、日本に世界の公式記録として認定されるレースが少なくて。そこで、地元の防府読売マラソンが名乗りを上げてくれて、公式記録として認定されるようになり、実現した世界記録だったんです。みんなが記録を出せる大会を整備してくれたおかげで、世界記録として認定された。その達成感というか、一緒に道を切り拓いていく過程があったので喜びはひとしおでした」

 みんなで一緒に切り拓く。その感覚は東京パラリンピックを控えた今も変わらない。

「最初は私一人の目標だったのが、気が付いたら周りにたくさんの伴走者や支えてくれる仲間がいて、みんなの目標になっているんですよね。私がロープを持って走るけど、誰が欠けても達成できない目標。みんなに夢を見させてもらっています。ここまで一人では来れないし、できないことを考えたらたくさんありますもん(笑)。でも、まだ夢の途中。東京では一緒に戦ってきた仲間と喜びを分かち合いたいですね」

 東京パラリンピックで42.195キロを走り抜いた時、チーム道下が描き続けてきた夢が実現することを願いたい。

(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)

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