今、走るのが好きなのは「燃え尽きていないから」 マラソン・鈴木亜由子の“開花理由”
ジュニア世代に伝えたい競技との向き合い方「自分の気持ちに素直になって」
好きで始めたことであっても、度を超してしまうと苦痛になってしまう。名古屋大学に進学後もスポーツと勉強のバランスを保ちながら、好きという気持ちを失わずに陸上と向き合った。その経験を踏まえ、次世代を担うジュニア選手たちには楽しむことを忘れずにいてほしいと願う。
「ジュニアの時は、本当に楽しんでほしいなって思います。勝つことを知るのは大事なんですけど、そこに執着しすぎても。頑張ることは大事です。でも、成長に応じた頑張り具合があるので、あまり負荷を掛けすぎずに自然の流れでいいのかなと。周囲がプレッシャーをかけ過ぎないこともそうですし、ハードな練習をしすぎないこともそう。女子は体重を落としすぎても、長い目で見たらプラスではないですから。
なので、自分の気持ちに素直になって、頑張ってほしいと思います。私は今まで、誰かに過度のプレッシャーをかけられたり、練習を強要されたりということはなかった。本当に自分の心の底から沸き上がる、その気持ちを大事にやってきました。子どもたちにも、そうあってほしいなと思います」
自分から進んでチャレンジした時と、誰かにやらされた時とでは、結果として同じ目標を達成したとしても、成長の度合いには大きな差が生まれるだろう。ジュニア世代では特に、周囲の大人たちが今この瞬間に囚われ過ぎず、少し先の未来を含む広い視野を持つことが、子どもたちが大きく羽ばたくカギを握るのかもしれない。
28歳になってもなお、自身の可能性を広げつつある鈴木。マラソン選手として初めて臨むオリンピックは、来年に迫る。「こんなにチャレンジングなことに向き合えるのは、本当に幸せなこと」。走ることに魅せられたランナーの勇姿、ぜひ見届けてほしい。
(THE ANSWER編集部)