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【THIS IS MY CLUB】37歳で未だ進化 松本山雅・田中隼磨が培ってきた“不動心”「全力を出し続けるだけ」

「昇格」という大目標へ「やるべきことは変わらない」

 この中断期間中、オフの合同自主トレでも行動を共にするなど親交の深い“カズ”こと三浦知良(横浜FC)とオンラインでコミュニケーションを図る機会があった。これが世の中の状況を再認識するきっかけになったという。

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「カズさんから連絡が来て『松本は今どんな状況なの?』といったことを聞かれました。東京では外を出歩くことすらままならないようで、同じ日本でも松本とは少し状況が違う。地域によって感染状況も違うので、若干の温度差があると思います。でも大切なのは、みんなが足並みを揃えて思いやりの気持ちを持って行動すること。カズさんのような偉大なキャリアを築いている選手でも『今はサッカーをやっている場合ではない』と話していたのが強く印象に残りました」

 5月下旬、J2とJ3は6月27日に、J1は7月4日に再開が決まり、6月に入ってからは全体練習が再開した。ようやくひとつの目標が定められたことに安堵する選手やスタッフ、あるいは関係者は多いだろう。

 それでも田中は表情を大きく変えない。泰然自若という四字熟語がよく似合う。

「サッカーができない不安や試合日程が決まらないことでのモチベーションの変化を口にする選手がいたかもしれない。でも僕自身はそういったことを一切考えませんでした。今は日本だけでなく世界的に緊急事態の状況です。もちろんサッカーをやりたい気持ちはあるけれど、もっと苦しんでいる人も大勢いるし、医療の現場などでは危険を顧みずに働いてくださっている人もいる。

 だから、まずは自分自身が感染しないように行動すること。そして、感染を拡大させないためにどうするかを考えていました。もうすぐ試合が再開するといっても、これまでとは少し違う日常になります。その日常を受け入れて、適応していかなければいけない。サッカーの状況が一瞬一瞬変わるのと同じように、僕たちは臨機応変にアジャストしていかなければいけないと思います」

 リーグ戦再開直後は『リモートマッチ』という形式で、スタンドにファン・サポーターはいない。山雅サポーターからの熱を感じられるのはもう少し先になるが「やるべきことは変わらない」と視線を真っすぐに向ける。

「僕の場合、リーグ戦再開の日程が決まった時も新しい感情は生まれてきませんでした。僕としては、いつ、どんな状況で再開しても、今までやってきた全力のプレーを続けるだけ。だから再開後も自分らしいプレーを見せて、チームとして『昇格』という目標を達成したい。それがファン・サポーターの心を揺さぶるはずだから」

 幾多の修羅場をくぐり抜けてきた田中隼磨は、簡単に動じない。再開後、ピッチには変わらず右サイドを疾走する背番号3の姿があるはずだ。

(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)

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