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球団一筋30年 ロッテ名物ウグイス嬢の誕生秘話「ドームだったら違っていたかも」

プロ野球・ロッテには、言わずと知れた名ウグイス嬢がいる。91年から球場アナウンスを担当する谷保恵美さんは、今季で“現役30年目”を迎える。昨年7月には担当試合が1800試合を突破。96年10月以降、連続担当を継続中の鉄人でもある。谷保さんにとって待ちに待った節目のシーズン開幕となる23日のオリックス戦(ZOZOマリン)を前に、これまでの歩み、独特のコールが作られた経緯などを語ってくれた。

ロッテでウグイス嬢を務める谷保恵美さん【写真:宮内宏哉】
ロッテでウグイス嬢を務める谷保恵美さん【写真:宮内宏哉】

91年からウグイス嬢の谷保恵美さん、23日のオリックス戦が30年目の“開幕”

 プロ野球・ロッテには、言わずと知れた名ウグイス嬢がいる。91年から球場アナウンスを担当する谷保恵美さんは、今季で“現役30年目”を迎える。昨年7月には担当試合が1800試合を突破。96年10月以降、連続担当を継続中の鉄人でもある。谷保さんにとって待ちに待った節目のシーズン開幕となる23日のオリックス戦(ZOZOマリン)を前に、これまでの歩み、独特のコールが作られた経緯などを語ってくれた。

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「ここまで長くやれるという想像はしていなかったですね……最初は『もしかしたら短い期間で北海道に帰るかもしれないな』と思ったりもしました。それが人生のうちで、千葉に住んでいる方が長くなりましたからね」

 地元で培われた野球への情熱が、谷保さんのウグイス嬢人生を切り開いた。

 帯広三条高、帯広北高の監督として甲子園に出場している父・直政さんの影響もあり、幼いころから野球を身近に感じてきた。北海道の高校、大学で野球部のマネージャーを務め、卒業後は実家の家業を手伝ったり、官公庁の臨時職員として働きながらも、ボランティアで試合のアナウンスも務めていた。甲子園のウグイス嬢に強い憧れを抱いていた。

「北海道内の高校野球で、男子校が当番校になった時だとか、社会人野球でアナウンスをやらせてもらっていました。大学の時、初めてリーグ戦のアナウンスをやらせてもらって、試合を進行していく感じがマネージャーの仕事とはまた違う感覚で楽しくて。もっとやりたいという気持ちはあったんですけど、当時は北海道に球団がなかったこともあって、これを仕事にできるか、あまりピンと来てはいませんでした」

 ただ、プロ球団のウグイス嬢になる夢は捨てきれず、時期を見ては12球団問わず電話をかけた。3年近く粘っていると、当時のロッテオリオンズともう1球団から「職員採用はあるかもしれないので、履歴書ならば送っても構わない」と連絡を受けた。迷わず送付。オリオンズに採用され、1990年に入団した。

「どんな仕事でもしますということで。北海道から出たことがない人間だったんですけど、野球の仕事に携われるんでしたら、海を渡ってこようと(笑)」

 1年目は経理だったが「お声がかかったときすぐにできるように」と、時間があれば他球場でアナウンスを直に聞いて勉強した。チャンスはすぐに訪れる。入団2年目の91年、アナウンス担当の職員1人が退職したことから、2軍担当を打診された。簡単なテストでOKをもらい、3月の教育リーグからデビュー。以後、94年からは主に1軍を担当している。

「初めて川崎球場に行かせていただいたときにはナイトゲームで、照明が光って、人工芝で、大きい選手がいて……それに圧倒された感激、喜びもありました。でも、意外とたくさんしゃべることがあって、試合を見ているわけにもいかず、進行を追っていかなかければいけない仕事なんだなと、仕事を始めてから分かりました」

 昨年7月30日のオリックス戦で担当1800試合を達成。物凄いキャリアだが、今でも100%の余裕をもっているわけではない。ウグイス嬢として最も求められることが「試合の円滑な進行」。プロの華麗なプレーを、じっくり観戦する余裕はないのだ。

「テレビ観戦のような目線ではないですね。(プレーが)どうだったかも思い出せないくらい。毎試合、『こうしたほうがいいんじゃないか』というのは常に持っています。要求されることも、いろいろ変わってきますしね」

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