【今、伝えたいこと】夏季競技だけじゃないコロナ余波 アイスホッケー鈴木貴人「スポンサー探し大変と…」
新型コロナウイルス感染拡大により、スポーツ界はいまだかつてない困難に直面している。試合、大会などのイベントが軒並み延期、中止に。ファンは“ライブスポーツ”を楽しむことができず、アスリートは自らを最も表現できる場所を失った。
連載「Voice――今、伝えたいこと」第27回、アイスホッケー界にコロナが与えた影響
新型コロナウイルス感染拡大により、スポーツ界はいまだかつてない困難に直面している。試合、大会などのイベントが軒並み延期、中止に。ファンは“ライブスポーツ”を楽しむことができず、アスリートは自らを最も表現できる場所を失った。
日本全体が苦境に立たされる今、スポーツ界に生きる者は何を思い、現実とどう向き合っているのか。「THE ANSWER」は新連載「Voice――今、伝えたいこと」を始動。各競技の現役選手、OB、指導者らが競技を代表し、それぞれの立場から今、世の中に伝えたい“声”を届ける。
第27回はアイスホッケー元日本代表監督の鈴木貴人さんだ。長く日本代表の主将として活躍し、代表ヘッドコーチ(HC)も務めた第一人者。現在は強豪・東洋大の監督を務める44歳は、冬季競技のアイスホッケー界がコロナ禍で受けた影響を明かした。
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スポーツ界から熱狂と興奮を奪った新型コロナウイルス。東京五輪の延期により、夏季スポーツに対する影響がよりクローズアップされるが、冬季スポーツに対する影響がないワケではない。
「アイスホッケーも、多くのスポーツと同じように活動できない状況になりました」と鈴木さんは語る。
9月にシーズンが始まり、4月まで大会が続いていくアイスホッケー。しかし、感染症が広がった3月以降、多くのスケートリンクは閉鎖され、各カテゴリーの大会も中止に。選手は氷の上に立てない状況に陥った。
緊急事態宣言こそ解除されたが、今後の先行きも不透明だ。
アイスホッケーはお金がかかる競技。都内で民間のリンクを借りれば、1回の90分の練習で5万円はかかる。スケート靴は1足10万円。全身の防具を揃えれば、金額はその数倍になる。
日本のトップ選手が主戦場とするのが、アジアリーグ。韓国、ロシアと3か国からなる国際リーグに、今季まで日本からH.C.栃木日光アイスバックス、ひがし北海道クレインズ、王子イーグルス、東北フリーブレイズの4チームが参戦していた。
しかし、遠征費も馬鹿にならず、年間予算が少ないチームでも3億円はかかる。しかも、今後は社会全体に予想される不況。鈴木さんも「スポンサー探しが大変と聞いている。通常のチーム数でできるかどうかは不安視されている」と明かす。
しかも、世界3位の感染者数が出ているロシア、感染第2波の拡大が懸念される韓国との試合もあり、「国をまたいだリーグである以上、日本が早く収束できても、他の国が収束していなければリーグができるか分からない。その点はすごく心配」と語った。