【今、伝えたいこと】球児に勧める“不安との向き合い方” 打撃職人・和田一浩が野球人生から学んだこと
球児たちへ伝えたいこと「小さな一歩が大きな目標へ」
自身は血のにじむような猛練習をしてきた高校3年最後の夏、岐阜大会で敗退して甲子園には届かなかった。「挫折したり、悔しい気持ちがあっても、それを持って次に臨んできた。その積み重ねが自分の野球人生」。大学、社会人、プロと野球を続ける中で、思うようにいかなかった経験を糧にベストを尽くし続けた。
勝負の世界を戦い抜いた和田氏から、球児へ伝えたいのは「後悔だけはしてほしくない」ということだ。野球に打ち込んだ時間は間違いなく無駄ではない。できることが限定されている今も、過去の経験を生かして次に歩を進めてほしいと願う。
「いきなり大きな目標の大きな一歩は踏み出せないと思うし、小さな一歩が大事だと思う。まず1日、ちょっとずつでもできることをいかにやるか。その積み重ねで大きな目標に向かっていくのではないかと。毎日やることは根気がいることですけど、それができるか、できないかはすごく大きな差だと思います」
未曾有の非常事態、未来を切り開くにはできることを続けるしかないと訴えた和田氏。最後に、元通りの生活に戻ったときに、コロナ禍の経験から考えてほしいことを語ってくれた。
「当たり前にできていたことができなくて、初めて大切さに気付くような状況です。元の生活ができることへの感謝や、野球ができるようにしてくれた人への感謝を改めて感じられるようになってほしい。この状況をマイナスと思ったまま終わるのか、プラスにもとらえるか。生活が戻ったときに『これは当たり前ではないんだ』と気づけば、それだけで収穫だと思います」
■和田 一浩(わだ・かずひろ)
1972年6月19日生まれ、岐阜県出身。県岐阜商2年時に春夏の甲子園に出場。東北福祉大、神戸製鋼を経て96年ドラフト4位で西武入り。捕手から外野手に転向し、02年から3年連続で打率3割、30本塁打を記録。05年には首位打者、最多安打のタイトルを獲得した。07年オフにFA権を行使して中日に移籍。10年にシーズンMVPを獲得した。通算2000本安打を達成した15年をもって現役引退。ベストナイン6度。04年アテネ五輪、06年WBCでは日本代表としてプレー。現在は野球解説者として活動する傍ら、少年野球の指導、イベント出演、講演などで活躍中。
■和田一浩氏 公式インスタグラム(https://www.instagram.com/wadakazuhiro/?hl=ja)
(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)