【#キミとONETEAM】「W杯前にアキレス腱が切れた。でも決めたことはやり抜いた」―元日本代表・庭井祐輔
W杯イヤーにアキレス腱断裂も「落ち込んでいても仕方ない」
大きな目標を見失いそうになる時期でもあります。スポーツをやってきた学生にとってはインターハイが高校生活の最終目標だったという選手も多いでしょう。中止となったことは想像しても辛いものがあります。
僕個人で言うと、ずっと昨年のW杯を目標にやってきました。ただ1月にアキレス腱断裂という大けがもありましたし、実力も足りていなかったと思います。大きな目標に達することは叶いませんでした。叶わなかったので、次のW杯には絶対に出たいと思っています。
今のような何かができなくなった状況は、ポジティブに考えればいろいろなことを考えやすい。アキレス腱を切ったときも1週間くらいは絶望的な気持ちでした。だけど、ただ落ち込んでいても仕方ありません。起こってしまったことは変えられない。これで本番に間に合ったら、けがしている人にも見本、勇気になるかなと思ってやっていました。
結局は間に合わなかったのですが、その時に決めたことは最後まで貫こうと思っていました。何が起きるかはわからない。いつでも準備はしておこうと決めていたので、W杯前とかはトレーニングで追い込んで、さらにめちゃくちゃ走っていました。当時はチームもオフだったので、練習もなくてグラウンドも使えなかったのですが、自分で決めたことは絶対に譲れなかった。ここでやめたらこの先もいろいろなことを中途半端にやめてしまうと思ったからです。
次のW杯がまずは大きな目標ですが、その先にはラグビーの指導者になりたいと思っています。もともと指導者に興味はあったのですが、改めてサンウルブズ、日本代表で得たことを伝えていきたいなと思うようになりました。実際に高校生、大学生でそういう知識を欲しがっている選手はたくさんいます。カテゴリーは関係なくトップレベルの知識や、練習方法なんかを伝えられたらなと。
高校生頃まで下から投げろと教えられ、トップのレベルになるにつれて最短距離で投げるように言われます。小さい頃からトップのレベルに教えてもらえることは大きなメリットがあると思います。トップクラスの選手が高校生とかを教えにいくと、顕著に変わるのが現状です。僕自身、今を無駄にしないで、夢に向かって進んでいきたいと思っています。
【#きょうのトライ「自分の夢、ワクワクできることを考えて」】
自分の夢や、楽しいと思えること、ワクワクできることを考えてみてください。今だからこそ考える時間はたくさんあります。自分にとって一番大きな夢は何なのかを見直す時間にして欲しい。それはスポーツじゃなくてもいい、ラグビーじゃなくてもいい。両親に喜んでもらえるようにとか、どんな小さなことでもいいから見つけてほしいと思います。
■庭井 祐輔(にわい・ゆうすけ)
1991年10月22日生まれ、兵庫県出身。報徳学園高時代は高校日本代表。立命大を経て、2014年にキヤノンイーグルスに加入。16年は主将を務める。17年のルーマニア戦で日本代表初キャップを獲得。同年からサンウルブズでもプレー。174センチ、100キロ。ポジションはHO。
(次回はサンウルブズ・竹田宜純さんが登場)
(THE ANSWER編集部・角野 敬介 / Keisuke Sumino)