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【今、伝えたいこと】「事実は変えられない」 体操男子監督・水鳥寿思、「2021年東京五輪」に向かう覚悟

怪我から学んだ少し先の未来を「イメージすることの大切さ」

 昨秋に左足首を痛めていた谷川航は、この自粛期間で今まで完全に治りきらずにいた足首を治せると話し、ベテランの内村航平は、もう一度ブレットシュナイダー(鉄棒の大技)に挑戦できる時間ができたと話しているという。代表候補選手たちが見せる不屈の心に、水鳥氏は「実は、僕が励ますまでもないという感じなんですよ」と頼もしげだ。

 水鳥氏自身も、今回の五輪延期は体操男子日本代表にとって、楽しみな時間になると考えている。

「若手の選手が数多く出始めてきたので、ちょうどベテランと若手が拮抗して、誰が代表になるか分からないというのが、今の日本の状況だと思います。なので、1年の猶予はそれぞれの選手にとって、いいレベルアップの時間になる。日本としては時間をもらえたという感覚で、より来年の方が実力をつけられるんじゃないかと思っています」

 日本体操協会は現在、6月末までの活動休止を計画。個々の選手の練習を見に行くことが少なくなった水鳥氏は、この時間を使って、活動が再開した時にできるだけスムーズに進むように、協会としてのガイドラインを考えたり、ナショナルトレーニングセンターの使用再開時期をJOCと協議したり、「できるだけ選手が安全な状態で、どう活動していけるのか、その可能性を探っています」という。

 思い通りにならない状況に置かれた時、少し先の未来に目を向けて準備を進めるスタイルは、怪我に泣かされた現役時代に身に付けたものだ。「イメージすることの大切さ」について、自身の経験も踏まえながら、こう語る。

「僕はアテネ五輪に行く1年半前に大きな怪我をしてしまったんです。その時に、1年半後にある五輪から逆算して、どのタイミングに何ができていれば自分が五輪に行けるとか、何点くらい取れれば五輪に行けると、具体的な練習計画を作って、実際にアテネ五輪に出場し、団体で金メダルまで獲ることができました。

 同時にイメージトレーニングをよくしました。例えば、ある技を習得するまでに100回の試技が必要なところを50回で習得できるように、フォームや踏み込み方などビデオを見て、自分の頭の中で何度もイメージしました。限られた時間の中でいかに効率よくできるか。もちろん、実際に試技をしないと気付かないこともありますが、イメージすることで無駄な練習や怪我が減ると思います。

 技だけじゃなくて、自分が代表選手になって表彰台に上がっている姿やインタビューを受けている姿もイメージしました。怪我をして辛い中、できるだけ明確なイメージを持つことで、折れそうになる気持ちを保つことができました」

 今、思うようなトレーニングをできていない現役選手はもちろん、競技・年齢・レベルを問わず、幅広い層の人々にとって参考になる方法と言えそうだ。

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