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劇団四季→独立リーグ 高校野球未経験、異色の140km右腕は「演劇と野球の懸け橋に」

日本を代表するミュージカル劇団の俳優として活躍し、後に140キロ右腕として野球の独立リーグに挑戦した男がいる。和田一詩さん、25歳。高校在学中に劇団四季のオーディションに合格。「ライオンキング」に出演するなど活躍していたが、フリー転身後の2018年に四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックスに入団。現在は引退し、徳島・鳴門市で地域おこし協力隊を務めている。高校野球の経験がなかった和田さんは、いかにして入団を勝ち取ったのか。異色の道のりに迫った。

2018年に徳島インディゴソックスでプレーしていた和田一詩さん【写真:本人提供】
2018年に徳島インディゴソックスでプレーしていた和田一詩さん【写真:本人提供】

2018年に独立リーグ・徳島でプレーした和田一詩さん、現在は鳴門市で地域おこし協力隊

 日本を代表するミュージカル劇団の俳優として活躍し、後に140キロ右腕として野球の独立リーグに挑戦した男がいる。和田一詩さん、25歳。高校在学中に劇団四季のオーディションに合格。「ライオンキング」に出演するなど活躍していたが、フリー転身後の2018年に四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックスに入団。現在は引退し、徳島・鳴門市で地域おこし協力隊を務めている。高校野球の経験がなかった和田さんは、いかにして入団を勝ち取ったのか。異色の道のりに迫った。

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 最初に、和田さんの経歴を紹介したい。高校3年生の夏休みに劇団四季のオーディションに合格し、卒業後に入団。2年の活動を経て2015年にフリーに転身。2017年秋にプロ野球・巨人と徳島の入団テストを受験し、2018年に徳島に投手として入団。1シーズンを過ごしたのち、2019年には愛媛・東温市の「坊っちゃん劇場」で活動。今年4月から徳島・鳴門市の地域おこし協力隊として赴任している。

 異色の経歴だが、最も驚くべきは「高校野球を経験していない」ことだ。とはいえ、中学時代は地元・愛知の強豪校から推薦の話があったほどの実力だった。だが、チーム関係者との衝突が契機となり、高校は実家の近くの公立校に入学。野球とは距離を置いた。

 高校では水泳部、吹奏楽部などに所属したが、熱意を向けていたものは別にあった。ミュージカルだ。小学生の時、名古屋で行われた劇団四季の公演に魅了されて「将来はあの舞台に立ちたい」と志した。独学で歌などに取り組み、オーディションに合格。入団後には夢だった「ライオンキング」に出演し「最初に描いた夢は達成できた」と感慨深く語った。

 ミュージカル俳優として着実に活動していく中で、野球に対しては距離を置き続けた。「草野球とかに誘われることもあったけど、辞めた時の気持ちがあったりして……。消えずにずっと残っていました」。不完全燃焼のまま競技から離れた気持ちをごまかすしかなかったが、思いがけない出来事をきっかけに、再び野球と向き合うことになった。

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