【#キミとONETEAM】「生きていく中ではラグビーより優先するべきことがある」―元日本代表・箕内拓郎
「イメージトレーニングで自分の動きのオプションを増やしてみよう」
いつ外でラグビーをできるかわかりませんが、いまは自分が感染してしまうかもしれないし、自分が感染源になってしまうかもしれないリスクがあります。「やだ、ラグビーやりたい」という自分のわがままが通らないくらい大きな問題が、世界で起きていることを学んでほしいと思います。そして、自分が何をしなければいけないのか考えてみてください。
家にずっといると大人でもストレスを感じるのだから、子どもたちにもストレスはかかると思います、その中でも、こういう生活を楽しむ工夫をしてもらいたいですね。たとえば、この時間を使って、いままで自分が苦手だったことを克服するチャレンジをしてもいいでしょう。学校に行っている時は、勉強でもスポーツでも苦手なことに取り組むことは少なかったはずです。逆に、自分の得意なことを伸ばす時間にしてもいいかもしれません。
ラグビーに関していえば、グラウンドを離れている間に、たくさん勉強をしてください。教材はいろいろな試合の映像です。この前のW杯の日本代表戦は、もしかしたら何度も何度も見ているかもしれません。でも、もう一度見直してみる時に「どうしてこのプレーを選択したのかな」とか、「一つ一つのプレーにどんな意図があるのかな」とか、「今のプレーはどういうところがよかったからチーム全体がうまくいったのかな」とか、少し客観的な視点を持つとプラスになると思います。
もう一つは、映像を見ながら、自分がグラウンドにいたらどう動くか、イメージトレーニングをしてみてください。僕が現役時代、怪我をして練習ができなかった時にしていたことです。イメージトレーニングで自分の動きのオプションを増やしておくんです。コロナが終息してチーム全体で動けるようになった時、イメージトレーニングで学んだことをグラウンドでどう生かせるか。10年後、20年後にラグビーのトップ選手を目指すなら、こういう時間はとても重要だと思います。いま家で過ごしているトップリーグの選手にも、同じことをやってもらいたいと思いますね。
僕は6歳からラグビーを始めました。ラグビーが大好きで、学校から帰ってくると1つ上の兄と一緒にボールを持って公園に行って、二人でボールを蹴ったりパスしたりして遊んでいました。ずっとラグビーを続けてきて感じるのは、ラグビーは充実感や幸せを感じられるスポーツだということです。小さい頃からやってきて生活の一部になっている僕にとっては、人生を豊かにしてくれたスポーツでもあります。だから、たくさんの子どもたちにラグビーを通じて、幸せを感じてもらいたいと思います。ラグビーができない時に、ラグビーをやりたいと思う気持ちが大事。これからもずっとラグビーを好きだという気持ちを持ち続けていてください。
【#きょうのトライ「腕立て伏せを1日で合計100回やってみよう」】
今日は寝るまでに腕立て伏せを100回やってみましょう。100回続けてやらなくてもいいです。空いている時間に10回を1セットとしてやって、あわせて10セット。合計100回になるようにチャレンジしてみてください。大丈夫、できると思いますよ。
■箕内 拓郎(みうち・たくろう)
1975年12月11日生まれ、福岡県出身。6歳からラグビーを始め、八幡高(福岡)に進学。関東学院大では4年生でキャプテンを務め、大学選手権で初優勝を飾った。卒業後に英オックスフォード大へ留学し、ケンブリッジ大との定期戦「バーシティ・マッチ」に出場。帰国後の1999年にNECに入団し、2000年にはイタリアのプロリーグ、セリエA2でもプレーした。02年のロシア戦で日本代表初キャップを獲得すると同時にキャプテンを襲名。03年オーストラリア大会、07年フランス大会とW杯は2大会連続でキャプテンとして出場した。10年にNTTドコモレッドハリケーンズに移籍し、14年に引退。現在は日野レッドドルフィンズでFWコーチを務めるほか、「ブリングアップ・ラグビーアカデミー」でジュニアの育成に尽力する。ポジションはナンバーエイト、フランカー。日本代表キャップ数は48。
(次回はサンウルブズ・小倉順平さんが登場)
(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)