【#キミとONETEAM】「生きていく中ではラグビーより優先するべきことがある」―元日本代表・箕内拓郎
新型コロナウイルスの感染拡大により、昨秋のワールドカップ(W杯)で空前のブームが巻き起こったラグビー界も大きな影響を受けた。1月に開幕したトップリーグがシーズン途中で中止。1試合の観客最多動員を記録する試合も生まれるなど、W杯から続いていた盛り上がりが予期せぬ形で途絶えてしまった。
子どもたちともう一度「ONE TEAM」に―「ラグビー選手から午前9時のメッセージ」第14回
新型コロナウイルスの感染拡大により、昨秋のワールドカップ(W杯)で空前のブームが巻き起こったラグビー界も大きな影響を受けた。1月に開幕したトップリーグがシーズン途中で中止。1試合の観客最多動員を記録する試合も生まれるなど、W杯から続いていた盛り上がりが予期せぬ形で途絶えてしまった。
【注目】現役、OB、指導者ら豪華メンバーが連日登場 ラグビー連載「#キミとONETEAM」全一覧はこちらから
もっとプレーを見せたかった選手、プレーを見たかった子どもたち。距離が遠くなってしまったいま、「THE ANSWER」はラグビー界がもう一度、子どもたちと一つになれることを願って、「#キミとONE TEAM」と題した連載をお届けしている。
元日本代表主将の菊谷崇さんと廣瀬俊朗さんが発起人となり、多くの現役、OB、指導者らが賛同。いま抱えている思いとともに、全国の子どもたちに向けたメッセージを送る。また、記事は連日午前9時に配信。「#きょうのトライ」として、学校が休校となっている子どもたちにきょう1日を使い、やってほしいことを提案する。
第14回は、日本代表キャプテンとして2003年オーストラリア大会、2007年フランス大会と2度のW杯に出場し、現在は日野レッドドルフィンズでFWコーチを務める箕内拓郎さんだ。
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僕がFWコーチを務める日野は、今年のトップリーグでNTTコムと開幕戦を戦いました。開幕節に秩父宮ラグビー場で行われる第1試合だったんです。第2試合が東芝対サントリーという好カードではありましたが、僕たちの試合が始まる1時間前には、秩父宮は座席を求めてくる人が長蛇の列になり、すごいことになっていました。グラウンドに入って観客席を見上げると、自由席がほぼ埋まっている。それを見た時に、日本代表はもちろんW杯の盛り上がりがすごくプラスに作用し、国内リーグやラグビーそのものに興味を持ってくれた人が増えているなと実感しました。
W杯のほかにも、ドラマ「ノーサイドゲーム」であったり、テレビ番組に日本代表選手が出演したり。いろいろな形でラグビーを身近に感じてもらえたのが、僕はうれしかったです。
僕は菊谷崇さんと小野澤宏時さんと一緒に「ブリングアップ・ラグビーアカデミー」で小中学生にラグビーを教えています。このメンバーで各地の小学校を訪問し、ラグビーの楽しさを知ってもらうための活動もしていますが、ラグビーボールを触ってみたいという子がたくさんいますし、ラグビーボールを持ってパスをしたり、W杯で流行った「ジャッカル」という言葉を使ってみたり。子どもたちがそうやって遊んでいる姿を見ると、ラグビーの認知度はここまで上がったんだと笑顔になりました。
せっかくラグビーに興味を持ってくれる人が増えましたが、残念ながらいまは外でラグビーができません。いまはラグビーをしている場合ではないんです。まずは大切なのは、みんなの健康を守ることです。トップリーグでは選手、コーチ、その家族、試合を見に来る人たち、ファン、試合を運営する人たちなど、すべての人たちの健康と安全が守られた状態にならないと、ラグビーをしてはいけない。生きていく中ではラグビーより優先するべきことがあるということを、子どもたちにも知ってもらいたいと思います。