【#キミとONETEAM】「いまを乗り越えれば、ラグビーはもっといいものになる」―元日本代表・廣瀬俊朗
新型コロナウイルスの感染拡大により、昨秋のワールドカップ(W杯)で空前のブームが巻き起こったラグビー界も大きな影響を受けた。1月に開幕したトップリーグがシーズン途中で中止。1試合の観客最多動員を記録する試合も生まれるなど、W杯から続いていた盛り上がりが予期せぬ形で途絶えてしまった。
子どもたちともう一度「ONE TEAM」に―「ラグビー選手から午前9時のメッセージ」第1回
新型コロナウイルスの感染拡大により、昨秋のワールドカップ(W杯)で空前のブームが巻き起こったラグビー界も大きな影響を受けた。1月に開幕したトップリーグがシーズン途中で中止。1試合の観客最多動員を記録する試合も生まれるなど、W杯から続いていた盛り上がりが予期せぬ形で途絶えてしまった。
【注目】現役、OB、指導者ら豪華メンバーが連日登場 ラグビー連載「#キミとONE TEAM」全一覧はこちらから
もっとプレーを見せたかった選手、プレーを見たかった子どもたち。距離が遠くなってしまったいま、「THE ANSWER」はラグビー界がもう一度、子どもたちと一つになれることを願って、「#キミとONE TEAM」と題した連載をスタートする。
元日本代表主将の菊谷崇さんと廣瀬俊朗さんが発起人となり、多くの現役、OB、指導者らが賛同。いま抱えている思いとともに、全国の子どもたちに向けたメッセージを送る。また、記事は連日午前9時に配信。「#きょうのトライ」として、学校が休校となっている子どもたちにきょう1日を使い、やってほしいことを提案する。
第1回は「ブライトンの奇跡」を演じた15年W杯イングランド大会の日本代表を“陰のリーダー”として支え、昨年はドラマ「ノーサイドゲーム」に出演し、ラグビー人気を盛り上げた廣瀬さんが登場する。
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ラグビー界も新型コロナウイルスの広がりでトップリーグは中止になり、大きな影響を受けました。僕自身もいま、毎日、家で過ごしています。
トップリーグはとても盛り上がり、W杯からトップリーグに熱がつながっていると感じていました。日本代表の選手もたくさん見てもらいましたが、W杯に出場した海外選手も注目され、「そんな選手たちもトップリーグに行けば見られるんだ」と思って足を運んでくれた人がいたことは、前回のW杯より楽しみ方が増えているなと、うれしかったです。
盛り上がりを感じたのはスタジアムだけではありません。公園に行くと、ラグビーボールで遊んでいる子どもが増えたんです。きっと1年前だったら、ラグビーボールがあっても何のボールかわからなかったと思うけど、いまはこれが何のボールで、どう遊べばいいか、わかっている。みんなでパスの練習をし合ったりする姿を見ると、W杯が盛り上がって一番良かったと思うことです。
僕自身も「ノーサイドゲーム」というドラマに出演させてもらいました。女性の方に多く見てもらい、その結果、女性ファンの旦那さんやお子さんも会場に連れてきてくれるようになり、すごく世の中の反応が変わりました。
そんな中でトップリーグは3月に中止になりました。これは残念でしたが、一番大切なことはラグビーに関わる選手とファンのみんなの人生と生活なので、仕方ないこと。それよりも次に向けて、どういう準備をするかが大事だと思います。
選手についてはもっとプレーする姿を見せたかったと思いますが、選手だからできる発信があります。いまは多くの競技で家でできるトレーニング、手洗いの呼びかけなどをしていますが、ラグビー選手もどんどん発信してほしい。もう一つ、いまは勉強するのはいい期間。スポーツが当たり前ではなかったと感じながら自分自身を深掘りし、そこで得た学びを今後に生かしてほしいです。
ラグビーをスタジアムで見たかった子どもたちもたくさんいると思います。まずは自分自身の生活でやるべきことをしっかりやってほしい。その上でラグビーが好きでもっと学びたいなら、選手に会うことだけじゃない。いっぱい映像を見るでもいいし、ラグビーの歴史を学ぶでもいい。自分なりに楽しめる、勉強できる方法を見つけて、この時間を使ってほしいです。
いまは学校に行けない子どもが多く、部活はもちろん、外で思う存分遊ぶこともできない。きっと苦しい時期だと思います。僕自身もラグビー人生でつらく、苦しい時がありました。一番は日本代表でのことです。