体が小さい君へ「コンプレックスは感じない」 Jリーグ最小MVP・161cm仲川輝人の身長論
小さなエースとして戦っていく決意、勝負の世界で生き抜く武器は“速さ”
次に、高身長への憧れを語ってくれた。
「僕も身長が高くなりたかったですよ。中学生の頃はもちろん、高校生になってからも、自分は成長期が遅いのかなって思うようにしていました(笑)。でも高校2~3年生になっても中学時代と身長がほとんど変わらなかったので、諦めました。両親は背が低いけど、兄は170センチ以上で、姉も165センチくらい。だから自分も伸びる可能性はあると期待していたけど、ダメでした(笑)。大学生になってからは、まったく気にしなくなりました」
こうして仲川は小さなエースとして戦っていく決意を固めた。
いかにして勝負の世界で生き抜いていくか。強調するのは、今も重要な武器にしている“速さ”だ。
「自分から1対1を仕掛けてシュートを打つと決めていれば、自分の速さが勝っているという自信はあります。相手はリアクションだから遅れて反応することになる。少しでもシュートコースが空けば、そこでゴールを狙えるのが自分の強みで、重要なのは間合いだと思います」
15得点で得点王にも輝いた仲川は、約半数となる7得点を利き足と反対の左足で挙げている。右ウイングを主戦場としながらも、カットインから左足に持ち替えての左足シュートは得意のゴールパターンになっていた。
さらに「相手の身長が大きければ大きいほど自分はプレーしやすくなる」と頷く。
「足の長さやリーチの長さは身長の高い選手の特徴で強みだと思います。でも自分が対戦する時は、一度でも逆を突ければ置き去りにできるというメリットになるし、先手を取れれば優位性を保てる。あとは相手の懐に入ってしまえば、ファウルを奪いやすい状況も作れます。細かいステップや、トラップ後の動作を速くすることが大切です」
身長が心理面に与える影響はあるのか。若かりし日の仲川は「必死にプレーしていたので相手が自分をどう思っているかを考えたことはなかった」と話したが、プロの世界で実績を積んでからは少しずつ見え方も意識するようになった。
「相手は身長の小さい自分にどうやって対応するか考えていると思います。でも、目の前の相手がいろいろ考えている状況は自分にとって有利。相手がプレッシャーを感じているのであれば、身長が低くても威圧感や雰囲気を出せるはず」