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高校グラウンドに鍵、難しい自宅個人練習 新型コロナ問題が米国の部活動にもダメージ

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回のテーマは「新型コロナウイルス問題が与えた米国の運動部への影響」。

米国での最終学年の生徒たち部活動はどうなってしまうのか……(写真はイメージです)【写真:Getty Images】
米国での最終学年の生徒たち部活動はどうなってしまうのか……(写真はイメージです)【写真:Getty Images】

連載「Sports From USA」―新型コロナウイルス感染拡大が与えた影響

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回のテーマは「新型コロナウイルス問題が与えた米国の運動部への影響」。

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 米国ではいくつもの州で外出禁止令が出ている。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためだ。

 どうしてもその場に行って仕事をしなければいけない人や、食料品などの買い物、医療を受けるための外出は認められている。外に出てジョギングしたり、散歩したりの運動も条件付き。家族以外の人とは少なくとも6フィート(約182センチ)離れなくてはいけない。

 子どものスポーツ、運動部活動なども全て中断されている。

 私の住むミシガン州では、3月24日に外出禁止令が出たが、3月10日頃から子どものスポーツや運動部活動が中止されるようになった。

 米国のスポーツ組織のなかでも中止の判断が早かったのは、北東部の名門校アイビーリーグだ。3月10日にバスケットボールのカンファレンス・トーナメントの中止を発表。この時点で他のスポーツ団体はまだ様子見状態であったが、翌11日夜にNBAの選手が新型コロナウイルスに罹患したことが分かると、12日には、多くの団体が一時中断を決めた。

 ミシガン州の中学・高校運動部を統括する組織でも3月12日に、全ての冬季種目を中断することを決定。ちょうど、州の優勝校を決めるポストシーズンが佳境に入ったところだった。例えばアイスホッケーでは12日に準決勝が予定されていたが、行われないままにシーズンが終わった格好になった。

 州の優勝校を決めるポストシーズンは、中学・高校運動部を統括する組織の財源にもなっている。リーグ戦は学校のグラウンドや体育館で行っていることが多いが、ポストシーズンはそれよりも大きな会場を使い、多くの観客が見守るなかでプレーする。ここで得られる入場料収入が運動部を統括する組織の運営費などにあてられている。デトロイトニュース電子版の19日の報道によると、冬季種目のポストシーズンの中止に加え、このまま春季種目が全くできないままだと仮定すると、ミシガン州の組織だけでも、100万ドル(約1億1100万円)程度のダメージがあるという。

 メジャーリーグやNBA、NHLなどのプロスポーツも経済的に大きな打撃を受けていて、時間給労働者の救済措置などが話題になっている。各州の中学・高校運動部を統括する組織も財源の一部を入場料収入でまかなっており、得られるはずだったお金がない、という状況は同じだ。

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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