創部3年目で全国制覇 中学生硬式野球チーム、躍進の裏側
雨が降っていても練習を強行、その意図は…
「技術面はもちろんですが、最も大事なのは精神面。勝負どころで物を言うのは間違いなく精神力です」と語る西村総監督。試合が進んでいく中で、難しい場面に直面するが、精神力が強くなければそこで力を発揮することはないと断言する。そのために日頃から選手らには厳しい練習を課している。選手からは「本当にキツイです……」との声も聞かれるが、日々、厳しい練習に耐えている。
また、試合日に近い日を除いては、雨が降っていても練習を強行する。雨天時のグラウンド状態を想定し、足元が悪くなっても普段通りに体を動かせるようにするためだ。
集合直後のノック練習では、連日の降雨によって、グラウンド状態は悪く、上手くボールをさばけない選手が続出した。西村総監督は厳しい檄を送る一方で、「ボールを待つな」「足を動かして前に行け」と的確なコーチングをする。指導者の指示に選手らはきちんと対応し、徐々に動きが良くなっていく。次第に西村総監督の厳しい檄は少なくなっていた。言われたことをすぐに修正する。選手らのこの対応力こそが日本一たるゆえんなのかもしれない。
ノック練習は続き、投手組はブルペンに、野手組は順番にバッティングゲージへ移動。野球は投手の出来が左右されるため、西村総監督はブルペン裏に陣取り、仕上がり状態をチェックする。2人ずつブルペンに上がるとキャッチャーミットから心地良い音が響いてくる。投手が1球でも気の抜けた球を投げると、再び西村総監督の厳しい檄。いいボールには「そのボールを投げておけば打たれないぞ」ときちんと評価する。
「選手の性格によって、言い方は気をつけていますね。褒めることはほとんどありませんが、正しく選手を評価してあげることが大切なのです」