アフリカに渡った元Jリーガーの執筆コラムvol.4「アフリカサッカーの現状―ピッチ編」
アフリカサッカーにとって切っても切り離せないのは「黒魔術」とは
そんなアフリカサッカーですが、やはりタフです。
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日本だったら確実に『レッドカードだろ』という危険なファウルもイエローカードで済んだり、『イエローカードかな』と思うものもカードが出ないことはよくあります。世界でルールの統一はされているものの、こういう違いで選手としてのタフさは変わってくるかもしれませんね。
しかし、審判のレベルは実は高いなと感じています。日本に一時帰国した際にワールドカップ(W杯)でも笛を吹かれた西村雄一さんにたまたま出くわし、その話をすると、世界では今、優秀なアフリカ出身審判が多く出てきていて注目されているみたいです。どこのグラウンドも日本のように綺麗なピッチはほとんどないので、審判のジャッジもかなり難しいだろうなとは思いますが。
あとはアフリカサッカーにとって、切っても切り離せないのは「黒魔術」でしょうか。
「黒魔術?」と思う方もいると思いますが、これはアフリカの多くの国と地域で信じられています。サッカーから離れると、この黒魔術関連で人が殺されたり、暴動が起きたりするくらい真面目な話です。
基本的にザンビア国内でサッカーの試合をしている時に身の危険は感じたことはありませんし、スタンドで観戦していても観客はアルコールをかなり飲んでいる酔っ払いが多いので、日本人だからという理由で危ない目には遭ったことはないです。
ホームゲームでも殺伐とした雰囲気になることは皆無なのですが、一度だけバックスタンドから瓶など、いろんな物が大量にピッチに投げられる試合を目撃しました。珍しいことなので全然、状況が最初は把握できなかったのですが、相手のGKが得点が入らないように自分の守るゴールに袋を置いていたんです。
黒魔術です(笑)
それをボールボーイの子供がピッチに入って相手のGKと揉み合いになりながら奪い取り、観客も大歓声と共に収束という。試合前に何かゴールに白い粉を撒いているという時もありましたね。アフリカのどこに行っても愛されているサッカーは観ている観客にとっても、その試合の結果は自分のことのように重要なものなのです。
今回は「アフリカサッカーの現状――ピッチ編」でしたが、次回はピッチ外のアフリカ編をお伝えできたらと思います。お読みいただき、有難うございました。
◆アフリカと黒魔術 アフリカでは神、精霊などの超自然的な存在を用いて、様々な現象を起こそうとする呪術に対する信仰が厚く、国民に対する影響力は大きい。スポーツ界においても同様で、サッカーでは呪術の道具、呪文などをピッチに持ち込み、試合結果を左右しようとする風潮があり、これらの行為が「黒魔術」とも呼ばれる。
(ZESCOユナイテッドFC・中町 公祐 / Kosuke Nakamachi)