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ラグビー元日本代表×世界的アーティスト 異色コラボ「ラグビーボール日常化計画」とは

スポーツと芸術の共通点は「ひらめき」と菊谷氏(左)と茂本氏【写真:編集部】
スポーツと芸術の共通点は「ひらめき」と菊谷氏(左)と茂本氏【写真:編集部】

スポーツと芸術の共通点とは…

―1つのデザインを仕上げるまでに何枚くらい描くものですか?

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茂本「1枚を描く時間は5分くらいなんですけど、納得するまで100枚くらいは描いています。なので、1週間くらい掛けて、完成にたどり着く感じですね。よく『この絵はどのくらいで描けるんですか?』と聞かれます。『5分くらいですかね』と答えると、『すぐ描けるんですね』と言われるんですけど、そこに至るまでの道のりがある。だから、スポーツと一緒です。本番でカチッとしたものを見せるために、アスリートは練習を詰む。僕もいきなり絵を描いてくださいって言われても描けません。ラグビーを描くなら、その準備が1週間くらいは必要。失敗を重ねながら、納得がいくものは100枚目の絵になる。もちろん、10枚目で決まることもありますが、平均すると100枚くらい描いてますね」

菊谷「すごい……。そんなにたくさん描いてもらっていたんですね……」

茂本「いえいえ(笑)。いつも通りですから。余談ですけど、元マラソンランナーの増田明美さんと対談したことがあるんです。増田さんは42.195キロを走る時、いわゆる『ゾーン』に入ることがあって、途中から気持ち良くなって、走ることの楽しさを感じるそうです。実は僕にも同じようなことがあるんですよ。何枚も描いてちょっと行き詰まり、これ以上できないかも、と思いながらも描き続けていると、90枚目くらいにポンと何かが下りてくるというか、ひらめくんです。全然違う絵が描けたり、こっちの線もいいなって切り替えたり。でも、それもそこまで描かないとできない。増田さんとの対談で、描く作業もアスリートに近いのかなと思いました」

菊谷「ひらめきや感覚は、ラグビーの試合をする中でもありますね。ラインアウトのためにだいたい100個くらいのサインを仕込んでおいて、試合によって使うサインを選びます。ただ、対戦相手と競るプレーだし、その時の風やボールの滑りも変わってくる。だから、どれだけ大丈夫と思ったサインでも、試合中のひらめきや勘を大切に変えることもありますね」

茂本「なるほど。スポーツと芸術、どちらもひらめきは大切ですね」

―茂本さんはチームスポーツとしてのラグビーに興味を抱かれたようですね。

茂本「はい。僕が好きな格闘技はほぼ個人競技なので1人で判断すればいいですが、ラグビーやバスケのようなチーム競技の場合は仲間がいる。常に意思疎通が大切になるわけですよね」

菊谷「そうですね。ラグビーは前にボールを放れない。でも、後ろを見てパスはできません。だから、後ろにいる人が常に、どこにいるのか、どんなボールがほしいのか、どういうプレーをしたいのか、指示を出さなければプレーが成立しません。コミュニケーションが必要なスポーツなので、僕らのアカデミーでも子どもたちの人間性を養うための方法としてラグビーを使っているイメージですね」

茂本「個人能力の高い人だけが集まっても、チームとしては機能しませんよね」

菊谷「ラグビーは1チーム15人、トータル30人が同時にグラウンドにいるわけです。そこで1人ではどうにもなりません。例えば、日本が2015年に南アフリカに勝ったり、2019年にアイルランドに勝った試合は、相手1人に対して日本は3人くらいでタックルに行きました。相手がどれだけ強くても、味方をサポートして補い合えば対応できるスポーツなんです。だから、誰か1人が目立つことはないですね」

茂本「BUでも、そういったチームの大切さを教えているんですね」

菊谷「そうですね。例えば、パスが繋がらなかった時、子どもたちは大体『どうしてここに放らないんだよ』と相手を責める。そうではなくて、次にうまく繋がるためにはどうするか、を考えるように持っていきます。試合ではパスミスを責める間に、プレーが切り替わってしまうので。過去じゃなくて未来に対して、どうコミュニケーションを取れるか。そこをアカデミーでは取り組んでいます。子どもたちが楽しめるようなゲームも取り入れていますが、必ず勝敗をつける。勝つためにはどうしたらいいか、それを子どもたちにチームトークとして話し合わせています」

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