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「校庭でやるのは初めて」と講師も驚き 元五輪選手が異色の「かけっこ×ボクシング教室」を仕掛けた理由

一生懸命サンドバッグに連打を繰り出す子どもたち。試行錯誤しながらボクシング体験を楽しんでいた【写真:株式会社ZEAL】
一生懸命サンドバッグに連打を繰り出す子どもたち。試行錯誤しながらボクシング体験を楽しんでいた【写真:株式会社ZEAL】

ボクシングを子どもの運動教室で採用する有効性

 ボクシング教室では、全身運動・協調運動を軸に指導を実施。4つのグループに分かれ、バランス感覚を養う神経トレーニング、ラダーを用いてリズム感&ステップワーク運動、ミット打ちによる身体連動動作、サンドバッグ打ちによる心肺機能向上運動と様々な動きを採り入れた。サンドバッグ打ちでは、計測器を用いて衝撃の強さや、叩いた回数を計測。4グループに分かれてリレー形式で、どのグループがより多く叩けたかを競って盛り上がった。徒競走とは違って、誰もが不慣れな運動。試行錯誤しながら楽しんでいる子どもが多く、5年生の男の子は「ボクシングはやったことがなかった。パンチをクロスして打つのが難しかった」と話した。

 ZEAL BOXING FITNESSの渡会雄一代表は「校庭でイベントをやるのは初めて。女の子もきれいにパンチが当たるとニコニコしていて、楽しんでやってくれて良かった。ミットを叩けた時の音を聞くだけでも楽しくなるもの。私たちは、神経トレーニングを大事にしている。手を動かしながら足も動かすため、脳に刺激を与える。ボクシングは競技として行うだけでなく、イメージをして、正しく体を動かすために効果的だと思っている。最近はラグビー選手が採り入れている例もある」と、子どもの運動教室で採用する有効性を説いた。

異なる競技を掛け合わせたことで、子どもたちは1日でさまざまな体の動かし方を学べる機会になった【写真:平野貴也】
異なる競技を掛け合わせたことで、子どもたちは1日でさまざまな体の動かし方を学べる機会になった【写真:平野貴也】

 走り方教室を担当した伊藤さんも「陸上競技の選手を輩出する目的ではなく、かけっこを通じて、どんな価値を提供できるか考えている。ボクシングは、子どもたちはやってみたくてもやる機会が少ない。体験したことがないものに初めて触れると、世界が広がる。今後も、多様なスポーツを絡めて、子どもたちに機会を提供していきたい」と話した。

 近年は幼少期に触れるスポーツは1種目に偏らず、複数の競技に触れることを推奨する「マルチスポーツ」と呼ばれる考え方も広まっている。体育の授業や、各競技のスクールなどでは、なかなか他種目を掛け合わせる機会を作るのは難しいが、様々な体の動かし方を学ぶことは、どの競技にも役立つこと。少し珍しいイベントとなったが、新しい価値を提供する機会となっていた。

(平野 貴也 / Takaya Hirano)

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