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C.ロナウドもベイルもこう蹴っている 異色の指導者が極めた“ふかせない”シュート

“ふかさない”ではなく“ふかせない” 「C.ロナウドもベイルも同じ蹴り方でした」

「キックに関しては、自分で蹴るのはもちろん、人に指導するのも自信がありました。1日に100人の小中学生を指導して、1人3分間ずつ助言しながらトレーニングを積んでもらい、全員を改善できた経験もあります」

 だが東京国際大学時代のGKコーチだった鈴木康仁が、そんな上船に助言した。

「パワフルで良いキックはしている。でも身体全体の力を最大限にボールに伝えられれば、さらに改善できる」

 それまで上船は、キックは足で蹴るものだと思っていた。ただしパワフルな上船は、ダイレクトシュートのシーンになると、強烈にネットを揺することもあるが、豪快にふかすことも少なくなかった。

 鈴木が教えたポイントは、前傾姿勢を保ったまま股関節で押し出すようにミートすることだった。とりわけダイレクトシュートなら動いているボールを叩くので、ミートするだけで勢いが出る。さらにいくつかの助言やヒントを得て、上船のダイレクトシュートは改良されていった。

「来るボールに対してステップを合わせようとすると、上体も立ってくるので逆にふかす可能性が高くなります。だからそのまま走り抜けるように叩く。これなら“ふかさない”どころか“ふかせない”。そう思いました。その後、レアル・マドリードのトレーニング動画を見たら、クリスティアーノ・ロナウド(当時)もギャレス・ベイルも同じ蹴り方をしていました」

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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