C.ロナウドもベイルもこう蹴っている 異色の指導者が極めた“ふかせない”シュート
“ふかさない”ではなく“ふかせない” 「C.ロナウドもベイルも同じ蹴り方でした」
「キックに関しては、自分で蹴るのはもちろん、人に指導するのも自信がありました。1日に100人の小中学生を指導して、1人3分間ずつ助言しながらトレーニングを積んでもらい、全員を改善できた経験もあります」
だが東京国際大学時代のGKコーチだった鈴木康仁が、そんな上船に助言した。
「パワフルで良いキックはしている。でも身体全体の力を最大限にボールに伝えられれば、さらに改善できる」
それまで上船は、キックは足で蹴るものだと思っていた。ただしパワフルな上船は、ダイレクトシュートのシーンになると、強烈にネットを揺することもあるが、豪快にふかすことも少なくなかった。
鈴木が教えたポイントは、前傾姿勢を保ったまま股関節で押し出すようにミートすることだった。とりわけダイレクトシュートなら動いているボールを叩くので、ミートするだけで勢いが出る。さらにいくつかの助言やヒントを得て、上船のダイレクトシュートは改良されていった。
「来るボールに対してステップを合わせようとすると、上体も立ってくるので逆にふかす可能性が高くなります。だからそのまま走り抜けるように叩く。これなら“ふかさない”どころか“ふかせない”。そう思いました。その後、レアル・マドリードのトレーニング動画を見たら、クリスティアーノ・ロナウド(当時)もギャレス・ベイルも同じ蹴り方をしていました」