酒井高徳と議論「長く活躍できる選手を育てる」 日本からドイツに渡って受けた衝撃とは
外国人選手とのフィジカル面の圧倒的な差を埋めるために行ったこと
「最初に感じた壁は、フィジカル面の違い。身体の大きさだけでなく、スピードや強度にも圧倒的な差があった。そして90分、120分間戦い抜ける体力、メンタリティを持っているというのが衝撃だった」(酒井選手)
そんなチームの中で自分がレギュラーをどうやって掴み取るか。強いフィジカル、コンディションを備えた上で戦わなければならないと考えたという。
「まず当たり負けしない身体、筋力をつけるため、自分より体格の大きい選手をあえて選んで1対1の練習を毎日繰り返し、具体的にどのくらいのスピードや力が必要なのか? など突き詰めていきました。大塚さんにもアドバイスを受けながら、例えばスプリント、ターンからの初速、筋力トレーニング……など自分の力を100%発揮できる距離感、筋力の使い方はどうなんだろうと細かく見ていきました」(酒井選手)
ユース時代から、ヨーロッパや世界で活躍できる選手になりたいという目標があり、それが酒井選手の原動力だった。また、現地ではしっかり自分を主張することが重要だと気付き、パフォーマンスだけではなく、自分の考えを主張することが世界に通用するために必要だと感じたという。
「シュトゥットガルトでレギュラーになったのですが、2014-15年の後半はなかなか出場機会を得られずにそのままシーズンが終わり、信頼する監督からの誘いもあり、ハンブルガーSVへの移籍が決まりました。一度スイッチをオフにしてリフレッシュしようと思い、日本で2週間の休暇をとりました。ところが、ハンブルガーSVの開幕戦で4部チームを相手に初戦敗退、全失点が自分絡みという苦い経験があったんです」(酒井選手)
コンディションが100%ではない時にいいパフォーマンスができるわけがないということに改めて気付いた酒井選手。そこからはコンディションを常にキープすることに専念。移籍から半年間ほど試合に出ることができなかったが、今度チャンスが来た時は絶対逃さないという気持ちで常に準備を怠らなかった。
その後、スタメン選手の怪我で交代出場となった時には、「なんでこんなにいい選手を出してなかったの?」と評価を受けるくらいの良いパフォーマンスを発揮できたという。この期間の経験は、サッカー人生の大きなターニングポイントになり、「常に準備をしておく」、そこからは絶対自分はブレないということを決めた。
その時期を知る大塚氏は、「彼自身が考えて行動し、それが維持できたこと、それが酒井高徳選手の凄みだと改めて思います」と語った。