普通の高校生は「ビビッてできない」 土壇場で自ら決断、堀越サッカー部監督が感嘆した選手の主体性
怖いもの知らずは「若さの一番大事な部分」
監督として佐藤は、改めて選手たちの底知れない可能性に感嘆した。
「人を代えてシステムを変えると誤差が出やすい。それに負けているわけだから、無駄な時間の浪費も避けたい。だからこそピッチ内で人を動かさずに変化させた。つまり彼らはバクチを当てに行って当てた。そんな達成感は、普通の日常では決して味わえません」
これまで団体競技では、途中で戦術的な変化を起こしたチームが成功をすれば「采配ズバリ」と監督が称賛されるのが通り相場だった。だが、堀越の場合は違う。
「高校生だって責任を持たせて、きちんと整理をして託せば何でもできる。47歳の僕にも思いつかないようなことを、17~18歳がやれてしまうんです。もちろん怖いもの知らずなところもあると思いますが、それは若さの一番大事な部分だと僕は思っています」
高校生の持つ可能性は無限大で、彼らには伸びしろしかない。東京制覇の目標を達成したシーズンを振り返り、佐藤はそう痛感している。(文中敬称略)
(加部 究 / Kiwamu Kabe)