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普通の高校生は「ビビッてできない」 土壇場で自ら決断、堀越サッカー部監督が感嘆した選手の主体性

怖いもの知らずは「若さの一番大事な部分」

 監督として佐藤は、改めて選手たちの底知れない可能性に感嘆した。

「人を代えてシステムを変えると誤差が出やすい。それに負けているわけだから、無駄な時間の浪費も避けたい。だからこそピッチ内で人を動かさずに変化させた。つまり彼らはバクチを当てに行って当てた。そんな達成感は、普通の日常では決して味わえません」

 これまで団体競技では、途中で戦術的な変化を起こしたチームが成功をすれば「采配ズバリ」と監督が称賛されるのが通り相場だった。だが、堀越の場合は違う。

「高校生だって責任を持たせて、きちんと整理をして託せば何でもできる。47歳の僕にも思いつかないようなことを、17~18歳がやれてしまうんです。もちろん怖いもの知らずなところもあると思いますが、それは若さの一番大事な部分だと僕は思っています」

 高校生の持つ可能性は無限大で、彼らには伸びしろしかない。東京制覇の目標を達成したシーズンを振り返り、佐藤はそう痛感している。(文中敬称略)

(加部 究 / Kiwamu Kabe)

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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