「怒号を飛ばす」育成指導者を目撃 学生起業家に湧き上がった環境改善への使命感
スポーツの現場では近年、テクノロジーの発展とともに様々なツールやサービスが開発され、日々のトレーニングをサポートしている。その一つとして注目されているのが、電子版スポーツノート「Aruga」(アルガ)だ。25歳の創業者・木村友輔氏は、筑波大学在学中に起業したキャリアの持ち主。子供の頃からサッカーに打ち込んできた木村氏は、なぜ電子版スポーツノートを開発することになったのか。前編では“学生起業家”になった経緯と、日本の育成現場の現状について感じることを語った。(取材・文=原山裕平)
「電子版スポーツノートの可能性」前編、木村友輔氏はなぜ大学時代に起業したのか
スポーツの現場では近年、テクノロジーの発展とともに様々なツールやサービスが開発され、日々のトレーニングをサポートしている。その一つとして注目されているのが、電子版スポーツノート「Aruga」(アルガ)だ。25歳の創業者・木村友輔氏は、筑波大学在学中に起業したキャリアの持ち主。子供の頃からサッカーに打ち込んできた木村氏は、なぜ電子版スポーツノートを開発することになったのか。前編では“学生起業家”になった経緯と、日本の育成現場の現状について感じることを語った。(取材・文=原山裕平)
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電子版スポーツノートのサービスを運営する「Aruga」(アルガ)株式会社代表の木村友輔氏は、もともとプロを目指したサッカー少年だった。小学校2年生の時に友人に誘われてサッカーを始めると、5年生の時には全国大会に出場するほどの実力者となっていた。
中学に入る際には浦和レッズのジュニアユースのセレクションを受けるも落選。すると木村氏は、自身が伸ばしたいと考えていたドリブル中心の指導を行う神奈川のクラブに加入する。東京在住のため、往復4時間かけて通う過酷な生活だったが、夢を叶えるためには苦にはならなかった。
高校では部活に入らず、クラブチームを選んだ。そこでは関東大会でベスト4が最高成績。全国大会への出場は叶わなかった。
「Jユースのクラブと対戦して、実力差が歴然だということを痛感しました。だから、プロは無理だなと。そこからキャリアを考え直しました」
木村氏は次第に練習をさぼるようになり、親には嘘をついて近くのファミレスなどで時間をつぶした。するとある日、古本屋で運命の本と出会うことになる。
「京セラの創業者である稲森和夫さんの『生き方』という本を読んで、経営者の生き様に感銘を受けたんです。僕はサッカーをしていたので、スポーツ×ビジネスという形で、将来起業できる人になりたい。その時から僕の夢は、サッカー選手から経営者に変わりました」
高校卒業後は、スポーツもビジネスも学べる場を求め、筑波大学の体育専門学部に進学。サッカーを続けるかどうかは迷ったが、「せっかく筑波に来たんだから、大学4年間部活をやり切って、普通に就職して、3年後くらいに独立しようと思っていた」と自身の将来を思い描いていた。