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「女の子は限界寸前で力を加減しやすい」 練習中に突然涙、見誤る体重管理…思春期の女子部活指導のノウハウ

1月に行われた、高校生のチアリーディング日本一を競う第35回全日本高校チアリーディング選手権。全国68チームが集った自由演技競技ディビジョン1で優勝したのが、梅花(大阪)だ。高校生史上初の大技を成功させ、6大会ぶりに掴んだ日本一。指導する熨斗香里(のし・かおり)監督は2005年の創部から選手を見守り続ける。強豪校にまで育て上げた指導の理念、思春期における女子選手の部活指導のノウハウなどについて明かした。(前後編の後編、取材・文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

全日本高等学校チアリーディング選手権で優勝した梅花RAIDERS【写真:梅花高校提供】
全日本高等学校チアリーディング選手権で優勝した梅花RAIDERS【写真:梅花高校提供】

高校チアリーディング日本一、梅花(大阪)・熨斗香里監督の指導理念

 1月に行われた、高校生のチアリーディング日本一を競う第35回全日本高校チアリーディング選手権。全国68チームが集った自由演技競技ディビジョン1で優勝したのが、梅花(大阪)だ。高校生史上初の大技を成功させ、6大会ぶりに掴んだ日本一。指導する熨斗香里(のし・かおり)監督は2005年の創部から選手を見守り続ける。強豪校にまで育て上げた指導の理念、思春期における女子選手の部活指導のノウハウなどについて明かした。(前後編の後編、取材・文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

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 梅花RAIDERS(レイダース)は中・高合わせて部員77人が在籍し、熨斗香里監督は高校3チーム、中学2チームを4人のコーチとともに指導している。

 選手に求めるのは「常に今の自分を超えていこう」という挑戦心。6大会ぶりの日本一に返り咲いた全日本も、シーズン最初の大一番・ジャパンカップの決勝で失敗した「トリプル3基」挑戦にこだわり、高校生初の大技を成功させた。そのスタンスはこれまでのキャリアに関係している。

 自身も箕面自由学園高(大阪)入学を機にチアリーディングを始め、最上段に乗るトップの選手として活躍した。梅花女子大(大阪)に進学し、高校・大学ともに日本一を達成。そして、大学と卒業後に進んだ社会人チームでともに日本代表に選ばれ、世界大会で優勝も2度経験している。

「私自身、日本で誰も成功したことのない技への挑戦を与えられ、クリアした時の達成感を体感している。『これ、達成したらすごいよね』という目標を設定し、達成していく喜びを味わって欲しい。RAIDERSで20年指導していますが、そのスタイルはずっと変わっていないかなと思います」

 チアリーディングは最上段でアクロバットな演技をするトップ、それを強靭な筋力で後押しするベース、後ろからサポートするスポットという16人が各ポジションで能力を発揮し、チーム力が問われる競技。指導するなかで難しさを感じることのひとつが、選手のメンタルコントロールだ。

「気持ち的に強い子ばかりではないので、ちょっとのことで自信をなくしたり、悩んだりすることがある。同じポジションの仲間がどんな声かけをして、その子が立ち上がっていけるのか。いろんなことが日常の練習の中では起こるので、そこを一つにまとめるのも、すごく難しいところです」

 メンタルの影響は女子選手により顕著に出やすい。実際、女子選手の指導で感じる特徴がある。

「女の子は限界まではいかない部分があると感じます。男の子なら、例えば『あそこまで全力で走って!』と言ったら、ひたすら走って出し切れると思う。でも、女の子は一歩手前で底力を出さない。自分で力を加減するところがあるのは難しい。それは、気持ちの面でも同じことが言えます。

 1対1で話さないと分からないこともたくさんあったり、さらに自分の気持ちでいるか、どう考えているか、はっきり言えなかったり。そこで本音を聞き出すところはすごく女の子相手に難しい部分。そういう部分を含め、底力を引き出すことというのは女子選手の指導者の課題だと思います」

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