部員200人超、コンバート活発 高校野球とは違う大学野球指導の面白み、選手が「なぜ?」問い返す
コンバートも提案「高校はチーム事情によってポジションが決まりがち」
選手に守備位置のコンバートを提案し、それが功を奏するケースも多い。小野寺は「高校はチーム事情によってポジションが決まりがちなので、他のポジションの方に適性があるパターンはよくある。『内野手をやった方がいいな』『外野手をやった方がいいな』などと考えながら選手を見ています」と話す。
例えば、高校では投手だった平川蓮内野手(2年・札幌国際情報)、投手兼外野手だった西村虎之助内野手(2年・米子松蔭)はいずれも入学後すぐに遊撃手へコンバートした。ともに下級生のうちからリーグ戦の出場機会をつかみ、特に平川は「ポスト辻本」の最有力候補と言っても過言ではないほど頭角を現し始めている。
もちろん、成功の裏には数々の失敗がある。選手を観察する中で、「うまくいくだろう」以上に頭に浮かぶのが「たぶんうまくいくだろう」。「うまくいくだろう」はすぐに選手に伝えられるが、「たぶんうまくいくだろう」を伝えるのには勇気がいる。結局、「たぶんうまくいくだろう」を胸にしまったままにして後悔することもあれば、「うまくいくだろう」が結果に結びつかないこともある。
それゆえ試行錯誤は続く。今秋のリーグ戦で優勝を逃して以降は、複数の選手に直接、「もう少し『こうやって打ちなさい』と言った方がいいか」と尋ねた。「言ってほしい」という声が多かったことから、最近はアドバイスする機会を以前よりも増やしている。
「コーチ就任6年目で、指導の引き出しは増えてきたと自分でも感じています。『今だったらあの選手にこういう指導をする』と思うこともある。ただ、『うまくいくだろう』を伝えて、実際にうまくいく確率をもっと上げられるように、勉強しないといけない」
多種多様な選手が集まる大学野球の指導は一筋縄ではいかない。だからこそ、小野寺は時間と労力を惜しまない。(文中敬称略)
(川浪 康太郎 / Kotaro Kawanami)