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東北からNPB選手を次々育てる「小野寺さん」とは 中日ドラ3ら輩出、原点は慶大のBチーム降格で訪れた転機

指導の最大のテーマは「選手の技術が毎日、少しずつでも良くなること」

 大学卒業後は明治安田生命で5年間プレー。27歳の時に勇退し、その後約1年は野球を離れ社業に専念した。ただ、大学時代から漠然と抱いていた「指導者になりたい」との思いが再燃し、「特に当てもなく」退社を決意。野球を一から学び直すべく、筑波大大学院に入学して再出発を切った。

 大学院の授業と並行して東洋大牛久高硬式野球部でコーチを務めたのち、仙台大のコーチに就任した。仙台大では、自身の経験をもとに「教える」ことの責任を感じながら選手と接している。

「選手が自分自身で考えて試行錯誤することも大事なんですけど、指導者から教わったことはすごく印象に残るんです」

 教えることで成長を後押しするケースもあれば、教えることが逆効果になるケースもある。指導者の言葉が選手の心に強烈に残るものであると知っている小野寺だからこそ、いつ、誰に、何を、どう教えるべきか、日々考えている。

 仙台大は小野寺がコーチに就任して以降、NPBに進む野手が出始め、これまでにソフトバンクの川村友斗外野手ら4人の野手がNPB球団からドラフト指名を受けた。今秋ドラフトでは辻本倫太郎内野手(4年・北海)が中日から3位指名を受け、野手で初の支配下指名も達成した。近年は卒業後に独立リーグや社会人野球で競技を継続する野手も増えてきている。

 小野寺には「それぞれの進路を実現させたい」との考えがある一方、指導をする上での最大のテーマとしては「選手の技術が毎日、少しずつでも良くなること」を掲げている。

「選手には『なんとなく練習に来ても仕方がない。毎日、うまくなるために練習に来いよ』という話をよくしている。うちは現状、センスのある選手がたくさん入ってくるわけではない。それをつくって磨くために、私も選手も努力しないといけない。一日、一日が勝負です」

 小野寺の教えが、今日も誰かのきっかけになっている。(文中敬称略/後編に続く)

(川浪 康太郎 / Kotaro Kawanami)

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