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Jリーガー多数輩出、個性磨くサッカースクールの信念 子供に「正解を押しつけない」

ともにボールを蹴って子供を楽しませ、自分自身も楽しむのがmalvaである【写真:malva提供】
ともにボールを蹴って子供を楽しませ、自分自身も楽しむのがmalvaである【写真:malva提供】

他者を蹴落とすような環境は「あまりプラスにならない」

 最近では今夏に行われた東京五輪に出場した上田綺世や、最終選考に残りながら惜しくも選考から漏れた古賀太陽がmalvaの出身者だ。浅野は現在も彼らと連絡を取り合う間柄で、他愛もない話からアドバイスまで内容は多岐にわたる。

「活躍を目にしたタイミングでメッセージを送ったり、たまに電話したりもします。自分が磨いてきたことを何のために使うのか。できれば人のためであってほしい。上田綺世であればゴールを決めること、古賀太陽であればパスで周りを生かすこと。彼らが持っている武器を人のために生かしてくれている姿を見るとうれしいですね」

 選手として高いステージに到達するために競争は避けては通れない。勝たなければいけない、選ばれなければいけない局面は必ず訪れるだろう。

 では、その方法論として他者を蹴落としてもいいのか。応えは「否」だろう。ましてや指導者がその状況を導いてしまっているとしたら、看過できない問題だ。

「他人を排除してまで生き残らなければいけない環境は、果たしてどうなのだろうかと思うんです。それはサッカーだけでなく人生においても、あまりプラスにならないのではないか。だから子供たちが楽しいと感じて、彼らの成長を見られる瞬間が一番うれしいです。年齢を重ねていってサッカー以外のフィールドで活躍している教え子もいますけど、根っこの部分での考え方は何も変わらないと思います」

 11月3日に50歳の誕生日を迎えた浅野は、現在も週4回ほどグラウンドに立っている。ともにボールを蹴って子供を楽しませ、自分自身も楽しむ。

 サッカーの本質がここにはある。

 それがmalvaだ。

(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)

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