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変わろう、野球 筒香嘉智の言葉「『球数制限』という言葉だけが一人歩きしている」

球数制限導入は難しい判断なのか? 「そんなに難しい話では…」

 昨年12月、新潟県高野連が独自の球数制限ルールを導入する方針を掲げたが、日本高野連に再考を要請され、撤回した。筒香はこの件に関して、問題提起した新潟県高野連に対して「敬意を払いたい」と言っている。結果的には撤回されたが、子ども達の健康と将来について全国規模で考えるきっかけになったこと、高校野球も時代に沿った変化を遂げなければならないと考える大人がいると分かったことなど、新潟県高野連が起こした行動の意味は大きい。

 大船渡が岩手大会決勝で敗れた時、佐々木を登板させなかった国保監督の決断に賛否の声が寄せられた。その中には「甲子園を目指す他の部員の気持ちを無視していいのか?」というものもあった。だが、もし佐々木が決勝で登板し、肩肘を故障していたら……。たとえ甲子園に出場できたとしても、他の部員は後味の悪い思いをするだろう。球児の故障を未然に防ぎ、将来を守るためにも、大人が感情に流されることなる冷静な目を持つことは大切だ。

 子ども達の将来を守る手段の一つとして、まず導入しやすいのが球数制限だ。筒香は1月の会見で「球数制限をすれば野球が面白くなくなるとか、待球作戦をするチームが出るなど、いろいろな声が上がっています。でも、大人の都合ではなくて子ども達の将来を考えることが一番大事だと思います」と話すと同時に、「子ども達の将来を考えることが一番という思いを全員が持てば、(導入は)そんなに難しい話ではないと思います」とした。

 日本高野連の「投手の障害予防に関する有識者会議」は9月に第3回会合が行われる予定だ。野球に限らず、スポーツのルールや規則は、選手の安全を守り、競技の公平性を保つために、それぞれの歴史の中で変化を遂げてきた。新しいルールが決まれば、その中で新たな競技の魅力や面白さが生まれる。「投手の障害予防に関する有識者会議」が、どのような対策を立てるかにも注目したい。

【第1回】変わろう、野球 筒香嘉智の言葉「子どもは大人の顔色を窺いながら野球をしている」
【第2回】変わろう、野球 筒香嘉智の言葉「勝つためにやらされる野球になったら、それは不幸」
【第3回】変わろう、野球 筒香嘉智の言葉「日本で使われている金属バットの弊害は大きい」
【第4回】変わろう、野球 筒香嘉智の言葉「一発勝負のトーナメント制をやめてリーグ制導入を」

(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)

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