変わろう、野球 筒香嘉智の言葉「『球数制限』という言葉だけが一人歩きしている」
令和初の夏の甲子園は、8月22日、大阪代表の履正社が初優勝を飾って幕を下ろした。今年、大会開催前からたびたび話題となったのが「球数制限」というテーマ。最速163キロを記録した“令和の怪物”、大船渡(岩手)の佐々木朗希投手が岩手大会決勝で登板しなかったことがきっかけだった。
大船渡・佐々木の起用で賛否を呼んだ「球数制限」、その真の目的は…
令和初の夏の甲子園は、8月22日、大阪代表の履正社が初優勝を飾って幕を下ろした。今年、大会開催前からたびたび話題となったのが「球数制限」というテーマ。最速163キロを記録した“令和の怪物”、大船渡(岩手)の佐々木朗希投手が岩手大会決勝で登板しなかったことがきっかけだった。佐々木は大会期間中に9日間で435球を投げており、故障を案じた同校の国保陽平監督は大一番でエースを起用せず。チームは決勝で花巻東に敗れ、甲子園に出場できなかったことで、起用法の賛否についてワイドショーまで取り上げるほど報道は過熱した。
甲子園出場か。未来ある投手の体を守るのか。それぞれに意見はあるだろうが、横浜DeNAベイスターズの主砲・筒香嘉智外野手は、かねてより試合の勝敗以上に球児の健康が守られるべきだと訴えてきた。今年1月に日本外国特派員協会で行った会見でも、高校野球における球数制限導入について言及しているが、球数に関する発言はそれが初めてのことではない。自身がスーパーバイザーを務める堺ビッグボーイズ小学部「アグレシーボ」の体験会などの場で、たびたび球数について触れている。では、どうして球数制限が必要なのか。なぜ球数が多いと問題なのか。
「THE ANSWER」では「変わろう、野球――筒香嘉智の言葉」と題した連載で、筒香の言葉から27歳スラッガーが抱く野球界、そしてスポーツ界に伝えていきたい思いを紐解いていく。第5回は「球数制限が持つ意味」だ。
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「『球数制限』という言葉だけ切り取られて一人歩きしている感じがするんです。球数制限は球児を故障から守る一つ方法であって、議論するきっかけの一つ。導入がゴールではなく、最初の一歩だと思うんです」――球数制限が持つ意味と目的について
ここ数年、シーズンオフになると筒香が野球界に“物申す”姿が恒例となっている。とりわけ、子どもの野球離れ、野球界の現状、そして未来について懸念。小学生野球チームのスーパーバイザーに就任したり、他の少年野球チームを訪問して現状を視察したり、積極的な活動を重ねながら、現役選手としては珍しく、自身の感じる問題点について声高に語っている。指導者の勝利至上主義、トーナメント制導入、飛ぶ金属バットの弊害など、様々な問題提起をしているが、その根底にあるのは「子ども達に野球を好きでいてほしい」「防げる怪我で子ども達の未来を潰したくない」という想いだ。