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変わろう、野球 筒香嘉智の言葉「一発勝負のトーナメント制をやめてリーグ制導入を」

一発勝負のトーナメント「試合に出られる子も出られない子も何のために野球をやっているのか」

 かねてより、指導者や保護者ら大人は勝利至上主義を捨て、子ども達の未来を考えた「育てる」という視点を持つべきだと訴える筒香は、野球界が勝利至上主義に走る原因の1つに「トーナメント制」があると考えている。かつて、こんな話をしたことがあった。

「負けたら終わりのトーナメント制では、どうしても子ども達の成長より、今の試合に勝つことが優先されてしまう。勝てば勝つほど過密スケジュールになり、休みもなくなるので、子ども達の身体に掛かる負担は相当なものになり、怪我をしやすくなる。しかも、勝つためにメンバーが固定され、試合に出られずに野球が面白くなくなる子どもも出てくる。大人が勝つことにこだわり過ぎて、子ども達の野球を好きだという気持ちを二の次にしてしまったら、試合に出られる子も出られない子も何のために野球をやっているのかわからなくなりますよ」

 今年の甲子園を例に見てみると、1回戦から出場するチームが優勝するには6試合に勝たなければならない。準決勝と決勝の前には1日ずつ休養日が設けられているが、場合によっては、1回戦を勝ち上がった後、8日間で5試合を戦うことになるチームもある。もちろん、試合はデーゲーム。気候の亜熱帯化が進む近年は、連日30度を超える暑さで、甲子園のグラウンド上は40度に迫る炎天下になることも。球数問題で注目される投手だけではなく、グラウンドを駆け巡る野手も含め、球児の身体に掛かる負担は計り知れない。

 また、小中学生が参加する野球の現場では、ほぼ毎月のようにトーナメント制での大会が開催されている。子ども達が少しでも多くの試合を体験できるように、大人たちは「良かれと思って」次々と大会を新設。だが、現状を見てみると、子ども達は常に「負けたら終わり」という緊張感の中に身を置き、伸び伸びと思い切ったプレーをしづらくなってしまう。

 筒香は、勝利が悪だとは言っていない。自身も今、1998年以来となるリーグ優勝を目指し、激しいペナントレースの真っ只中に身を置く。試合をする以上、そこには勝敗が生まれ、勝ちたいと思うのが自然の流れ。「僕自身も勝つことを否定しているわけではなく、勝つ喜び、負けて悔しがる思いは必要なものだと思っています」と話す。

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