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2軍球団の監督が選手に聞かれる「年俸いくらでした?」 武田勝が守る対話術「話すのは嫌な思い出」

プロ野球の2軍イースタン・リーグに参加して2年目を迎えるオイシックスは今季、新監督を迎えた。昨季は投手コーチだった武田勝氏(元日本ハム)が指揮官となり、新たなシーズンを戦う。武田監督はかぶり物をしてファンの見送りに参加するなど、独特のキャラクターで知られる。ベンチでにらみを利かせるような、ひと世代前の監督像とは全く違う「柔らかすぎる指揮官」が頭に置く指導論を聞いた。

監督となった武田勝は「監督とコーチは全く違う」という【写真:羽鳥慶太】
監督となった武田勝は「監督とコーチは全く違う」という【写真:羽鳥慶太】

かぶり物が恒例の新監督が守る「ルール」とは

 プロ野球の2軍イースタン・リーグに参加して2年目を迎えるオイシックスは今季、新監督を迎えた。昨季は投手コーチだった武田勝氏(元日本ハム)が指揮官となり、新たなシーズンを戦う。武田監督はかぶり物をしてファンの見送りに参加するなど、独特のキャラクターで知られる。ベンチでにらみを利かせるような、ひと世代前の監督像とは全く違う「柔らかすぎる指揮官」が頭に置く指導論を聞いた。

 監督業は通算3年目だ。2018年からの2年間、BCリーグの石川ミリオンスターズで指揮を執った。一方で日本ハムでの3年間をはじめ、投手コーチとしての経験もあり「監督とコーチは全く違うんですよ」と言う。監督としてチームを率いる時に、気を付けていることがある。

「結果論でものを言わないようにとは思っています。次につなげるために背中を押す存在でありたいので。ミスは絶対にあるんですよ。そのミスを次は出さないように、メンタルも体力も明日につながるような声がけというのがいちばんの仕事」

 効果的な声かけをするためには、技術面でも精神面でも、選手を良く知ることが必要になる。中身やタイミングによって、効果が全く違うからだ。そのために自分からは絶対にしないのが「昔の話」だという。

「自分の自慢はしない。知らなくていいんですよ。過去の武勇伝とかは絶対に言わない。そこから入ったら『あ、この人また自慢だよ』となるじゃないですか。自分の経験はもうひと昔、ふた昔前の話。話すとすれば共有できる話ですよね。嫌な思い出とか、野球で理不尽だった話とか。自分の良いことは話しませんね」

 選手からのアプローチがあれば、しめたものだ。相手の懐に入っていく。この順番を間違えてはいけないのだという。

「聞かれれば別ですよ。『年俸いくらでした?』なんかも全部答える。でも聞く前に自分から言ってしまうと、それはもうマウントなんです。マウントを取ると、聞けるものも聞けなくなってしまうんです」

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