東欧出身の元J指揮官「日本の子供は可哀想」 才能を埋没させる育成現場の“無駄”
技術は「練習すれば上達する」が、アイデアは教えられない
日本にも才能豊かな小学生が少なくないことは、バルセロナへ久保建英(現FC東京U-18)、レアル・マドリードへ中井卓大君が加入したことでも証明済みだ。だが、せっかくの才能を見逃すことなく、最大限に開花させるシステムが整っていない。
「日本の子供たちは可哀想だよ。監督、コーチ、さらには親からも、いろんなことを言われる。ある局面で3つの選択肢があっても、コーチに『右だ』と言われたら、右に蹴るしかない。日本の子供たちは、怒られ続けているからね。でも、ピクシー(ドラガン・ストイコビッチ)はコーチに指示されたら、絶対に逆のことをしたそうだよ」
それが相手の裏を取るということだ。
「テクニックは練習をすれば上達する。でもアイデアは、持って生まれたものだ。子供たちには、もっと自由にアイデアを発揮させなければならない。以前、(ジェフユナイテッド)千葉でプレーをしていたゴラン・バシリエビッチ(1995年に在籍)が言っていたよ。ピクシーの一瞬のアイデアは、我々が一晩中かけて考えても思いつかないんだから、ってね」
今、日本でもサッカー選手は、子供たちが最も憧れる職業である。だが、せっかくの才能を最大限に広げ、創造性豊かなフットボーラーを育むためのシステム整備や、指導者の意思統一は発展途上である。
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加部究●文 text by Kiwamu Kabe